【2022年版】ドラッグストアの店舗数ランキング

2022年4月18日 | 業界・地域分析

ドラッグストアチェーン

衛生用品や日用品などの需要が増大した2020年の反動により、停滞感が漂った2021年。そんなコロナ2年目のドラッグストア業界は、店舗数ではどのような動きをみせていたのでしょうか。
今回の2022年版(2021年1月~2022年1月)では、当社のチェーン店データを元に、1年間におけるドラッグストアチェーン店舗数の推移や、チェーン別店舗数ランキングと増減状況など、前回2021年版(2020年1月~2021年1月)との比較も交えて振り返ります。。


データの集計方法について


  • 集計元のチェーン店データは、チェーン店の公開情報を当社が調査・収集したものです。すべてのチェーン店を網羅したものではありません。また、実態とは異なる場合がありますのでご了承ください。
  • 2022年1月時点で、国内に10店舗以上展開しているチェーン店を集計の対象にしています。
  • 当社のチェーン店データ調査・収集は毎月を基本としていますが、隔月など定期収集のチェーンもあります。表・グラフの対象月に収集がなかったチェーンの場合、当月時点で最新のデータを記載しています。
  • 店舗数の増減率(%)は、2022年1月と2021年1月の対比で算出しています(小数点2位以下は四捨五入)。

ドラッグストア 店舗数推移(月別)

↑6.6% 業界の旺盛な出店意欲を映し、右肩上がりの増加続く


ドラッグストア店舗数 推移

ドラッグストア店舗数の増減率

業種 2021年1月 2022年1月 増減率(%)
ドラッグストア 22,110 23,572 +6.6%

【チェーン別ランキング】
27チェーンで店舗数増 増加率首位は「クスリのアオキ」

チェーン別ランキングを1月の前年同月比でみると、1位の「ウエルシア」が8.9%増、2位「ドラッグスギ」は11.7%増と大きく増加しています。3位の「ツルハドラッグ」も6.9%増と堅調に増やしています。

上位30チェーン中で最も増加率が大きいのは4位「クスリのアオキ」の23.3%増。
同社は近年「生鮮食品も扱うドラッグストア」の出店を増やしており、地場スーパーを次々と買収するなど積極的な店舗網拡大を図っています。
ほかにも、15位「薬王堂(12.1%増)」、16位「ゲンキー(13.9%)」と2ケタ台増加が2チェーンあり、中堅どころの中にも高速出店を進める動きがみられます。

特筆すべきは、上位30チェーンのうち前年同月に比べて店舗数が減っているのはわずか3チェーンで、圧倒的多数のチェーンで増えているという点です。特に上位16位までの増加率は平均で約9%と高く、現在、さまざまな戦略・方針による激しい出店競争が繰り広げられている状況が窺えます。
ちなみに、ランク外チェーン(10店舗以上を展開する31位以降のチェーン)では、約6割が前年より減っているかプラスマイナスゼロの現状維持となっています。つまり大手・中堅チェーンに比べて中小チェーンの増加率は明らかに鈍く、上位企業への集約化が静かに進んでいることがわかります。

チェーン店別件数ランキング(上位30チェーン)

順位 チェーン名 2021年1月 2022年1月 増減率(%)
1位 ウエルシア 3,055 3,328 +8.9
2位 ドラッグスギ 1,724 1,926 +11.7
3位 ツルハドラッグ 1,430 1,529 +6.9
4位 クスリのアオキ 1,004 1,238 +23.3
5位 ディスカウントドラッグコスモス 1,103 1,205 +9.2
6位 ドラッグセイムス 893 937 +4.9
7位 クリエイトエス・ディー 852 926 +8.7
8位 ドラッグストアマツモトキヨシ 839 890 +6.1
9位 サンドラッグ 833 871 +4.6
10位 ココカラファイン 736 779 +5.8
11位 薬マツモトキヨシ 722 768 +6.4
12位 Vドラッグ 498 533 +7.0
13位 キリン堂 410 440 +7.3
14位 カワチ薬品 413 438 +6.1
15位 薬王堂 323 362 +12.1
16位 ゲンキー 309 352 +13.9
17位 ドラッグストアモリ 317 340 +7.3
18位 トモズ 316 330 +4.4
19位 ハックドラッグ 280 286 +2.1
20位 ドラッグセイムス(ドラッグユタカ) 257 269 +4.7
21位 ウォンツ 224 240 +7.1
22位 ヤックスドラッグストア 225 230 +2.2
23位 くすりの福太郎 223 227 +1.8
24位 レデイ薬局 219 225 +2.7
25位 サツドラ 210 213 +1.4
26位 ドラッグイレブン 212 210 -0.9
27位 ザグザグ 189 204 +7.9
28位 ドラッグストアセキ 196 199 +1.5
29位 コクミン 200 188 -6.0
30位 ドラッグぱぱす 180 166 -7.8

店舗数は増えるも減益の傾向・・・その原因は?

大手ドラッグストア各社の2021年中に関する業績発表をみると、「売上高が前年同期に比べ若干増加する一方で、利益(純利益、経常利益)がかなり減少している」といった「増収減益」パターンが目立ちます。
ドラッグストアはそれぞれ注力する分野に違いがあり、調剤、ヘルスケア、食品、化粧品等が売り上げに占める構成比も異なるものの、2021年に関してはほぼ揃って業績の足踏み傾向を示しています。

原因として考えられるのは、消費者が衛生用品の買いだめに走った2020年の反動減をはじめ、新規出店や建て替えなど設備コストの増加、原材料高に伴う仕入れコスト増、チラシ配布強化による経費増、人件費や水道光熱費の増加など。
一方、当社の調査結果からもわかるように店舗数は増え続けているため、「売上高は増えながらも利益は減少」という状況に陥ったのではないかと考えられます。

今後もこの傾向が続くのかはわかりませんが、原材料高や人件費等のコスト増加要因は、当面解消の見通しが立たない状況です。人口減など社会変化やコロナ禍の消費マインドがまだ続いていることを考えると、店舗数を引き続き順調に伸ばしていったとしても、収益面では足踏みが続くものと予想されます。

本記事は当社のチェーン店舗データをもとに作成しています


日本ソフト販売が提供する、全国のチェーン店舗データ(飲食店・コンビニ・ドラッグストアなど)についての詳しいサービス情報は、こちらからご覧いただけます。






【参考情報】 2021-2022年 ドラッグストア業界動向


●「調剤」は好調 生鮮食品強化のチェーンで店舗数が増加


減収が目立った2021年のドラッグストアですが、すべての分野が停滞したわけではなく「調剤薬局部門が好調」という共通項もあります。受診を控える動きが2021年には一服し、処方箋の取り扱いが回復したことが寄与したもようです。
一般的に調剤は利益率が高い部門であるため、「調剤併設率」の引き上げを目標に掲げたり、利益率を高めるために調剤部門が強い薬局を買収する動きも盛んになっています。
また、従来の調剤薬局の役割に止まらず、処方箋を利用者の自宅に配送するサービスや、管理栄養士による健康保険相談サービス、訪問看護や介護サービスなど、健康サポート機能等に力を入れるドラッグストアも増えています。
一方、近年では生鮮3品(青果・精肉・鮮魚)の取り扱いを拡充する動きが活発化しています。上記ランキングで店舗数の高い伸びを示している「クスリのアオキ」はその代表格で、地場スーパーの吸収合併を着々と進めています。同様に店舗数増加率が高い「ゲンキー」や、ランキング3位、5位の「ツルハドラッグ」「ディスカウントドラッグコスモス」も食品強化を進めるドラッグストアです。


●大手連合の次は? 業界の垣根を超えた再編が進む


2021年ドラッグストア業界最大のトピックといえば、10月、旧マツモトキヨシホールディングスと旧ココカラファインの経営統合による「マツキヨココカラ&カンパニー」の誕生です。
これまで同業界では大手同士のM&Aがなかったため、「売上高1兆円規模への連合」と話題を呼びました。
その他にも、大手ドラッグストアによる中堅・中小ドラッグストアや調剤薬局の買収、大手ドラッグストアによる食品スーパーの吸収合併、その逆パターンの食品スーパーによるドラッグストアチェーン買収など、さまざまな形での再編が繰り広げられています。
競合激化や利益率低下、人口減少・高齢化・消費行動の変化への対応・・・。現在から将来に向けたこれらドラッグストアの課題は、流通業界共通の課題でもあります。
自社の将来像を定め、強みを強化し弱みを補う。その方針に沿ってM&Aを進める―。
それぞれの生き残りをかけて、業界の垣根を超えた再編が今後も活発に繰り広げられそうです。


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