【2022年版】ハンバーガーチェーンの店舗数ランキング

2022年6月6日 | 業界・地域分析

ハーンバーガーチェーン店

テイクアウトやデリバリー、ドライブスルーなど、非接触に対応した業態としてコロナ禍での「好調」が伝えられているハンバーガーチェーン。そんなハンバーガーの店舗数は、どのような動きをみせているのでしょうか。
今回は、当社のチェーン店データを元に、ハンバーガーチェーンの2021年4月~2022年4月の店舗数推移や店舗数ランキング、前年同月比増減状況などを集計し、1年間の動きを詳細に追っていきます。また、2018~2022年の店舗数年推移をチェーン別に比較することにより、ここ4年間のハンバーガー業界動向を探ってみます。


データの集計方法について


  • 集計元のチェーン店データは、チェーン店の公開情報を当社が調査・収集したものです。すべてのチェーン店を網羅したものではありません。また、実態とは異なる場合がありますのでご了承ください。
  • 2022年4月時点で、国内に10店舗以上展開しているチェーン店を集計の対象にしています。
  • 当社のチェーン店データ調査・収集は毎月を基本としていますが、隔月など定期収集のチェーンもあります。表・グラフの対象月に収集がなかったチェーンの場合、当月時点で最新のデータを記載しています。
  • 店舗数の増減率(%)は、2022年4月と2021年4月の対比で算出しています(小数点2位以下は四捨五入)。

【月別推移】ハンバーガーチェーン店舗数
(チェーン全体、2021年4月~2022年4月)

↑1.2% 大きな動きはないものの、全体に増加基調で推移


ハンバーガーチェーン全体の店舗数推移(2021年4月~2022年4月)をみると、2021年9月と2022年3月に若干前月を下回った以外は、増加基調をたどっています。最も増えたのは2022年1月(24店増)で、「マクドナルド」の14店増と「バーガーキング」の6店増が増加分の主な内訳です。この結果、2022年4月と前年4月を比較した前年同月比では、1.2%の若干増となりました。


ハンバーガーチェーン 店舗数推移

店舗数の増減率(前年同月比)

業種 2021年4月 2022年4月 増減率(%)
ハンバーガーチェーン 6,275 6,348 +1.2

【2022年版】ハンバーガーチェーン 店舗数ランキング

1~3位と4~6位 増減で明暗くっきり
断トツ増加は「バーガーキング」


チェーン別(※)店舗数ランキングを4月の前年同月比でみると、店舗数1位の「マクドナルド」と2位「モスバーガー」は、それぞれ1.0%と0.6%の若干増となっています。3位「ケンタッキーフライドチキン」は3.0%と着実な伸びをみせています。
ランキング上位3チェーンが小幅ながらも店舗を増やしているのと対照的に、4~6位の3チェーンはいずれもマイナス。中でも業界4番手「ロッテリア」は4.3%減とやや大きい減少率で、上位との明暗がくっきり分かれています。
また、最も大きな増加率を示したのは7位「バーガーキング」の27.3%増。全体に増加率が低い中で飛びぬけた存在感を示しています。一方、減少率では、8位「ファーストキッチン(10.6%減)」、11位「A&W(11.1%減)」が目立ったところです。
ちなみに、11位の「A&W」は沖縄県内のみの展開で、12位の「ラッキーピエロ」はほとんどの店舗が函館市内と、地域限定チェーンやご当地バーガーショップが活躍しているのもハンバーガー業界の特徴です。


※当社の集計では「ケンタッキーフライドチキン」「サブウェイ」も、「ハンバーガー」のカテゴリーに分類しています。

チェーン別店舗数ランキング(10店舗以上を展開する 計15チェーン)

順位 チェーン名 2021年4月 2022年4月 増減率(%)
1位 マクドナルド 2,909 2,937 +1.0
2位 モスバーガー 1,241 1,249 +0.6
3位 ケンタッキーフライドチキン 1,130 1,164 +3.0
4位 ロッテリア 324 310 -4.3
5位 フレッシュネスバーガー 177 171 -3.4
6位 サブウェイ 170 168 -1.2
7位 バーガーキング 121 154 +27.3
8位 ファーストキッチン 66 59 -10.6
9位 クアアイナ 32 33 +3.1
10位 ドムドムハンバーガー 27 27 0
11位 A&W 27 24 -11.1
12位 ラッキーピエロ 17 17 0
13位 TGIフライデーズ 12 13 +8.3
14位 J.S. バーガーズカフェ 11 11 0
14位 VILLAGE VANGUARD DINER 11 11 0

【年推移】チェーン別 店舗数
(上位10チェーン、2018~2022年4月時点)

マクドナルド ~右肩上がりに増加中~

3、11、12、28店と、毎年店舗数を増やしています。マクドナルドの店舗数規模からすると少数ずつではあるものの、コロナ前・後を通して着々と計画通りに店舗展開を進めているような印象です。
日本マクドナルドホールディングスの2021年12月期決算短信(連結)によると、全店売上高(直営+フランチャイズ店)が前期比10.7%増で過去最高となり、連結売上高は10.2%増、営業利益も10.3%増と大幅な増収増益でした。2017年以降の12月期決算の推移をみても、売上高・営業利益・経常利益ともに増加し続けています。店舗数年推移も、こうした好調ぶりを反映した結果となりました。


マクドナルド店舗数 年推移

モスバーガー ~2022年、減少から増加へ~

2018年から徐々に店舗数が減少していましたが、2022年は前年同月比0.6%とわずかながら増加しました。
同チェーンを運営するモスフードサービスの2022年3月期の決算短信(連結)によると、売上高が9.0%増で、営業利益が144.2%増、当期純利益に至っては243%増と驚異的な数字をはじき出しています。同社は2018~2019年、特に2019年3月期は減収減益で利益の落ち込みが激しかったものの、2020~2022年3月期で急回復し、売上高では落ち込む前を上回る水準に持ち直しています。こうした業績の動きを反映してか2021年4月に店舗数が下げ止まり、2022年には増加に転じています。


モスバーガー店舗数 年推移

ケンタッキーフライドチキン ~2020年から増加続く~

2019年4月は前年に比べ20店舗ほど減少したものの、その後着実に増加基調に戻り、2022年は34店舗と大きく増やしています。
日本KFCホールディングスの決算短信(連結)によると、平成30(2018)年3月期は一部事業譲渡にともなう特別損失計上などで減収減益となったものの、その後増収増益に転じ、2022年3月期は売上高8.8%増、経常利益26.2%増、当期純利益は62.4%増の好決算です。業績の伸びに歩調を合わせるかのように、店舗数も2019年以降緩やかな上昇曲線を描いています。


ケンタッキー店舗数 年推移

ロッテリア ~毎年徐々に減少~

12、15、8、14店と、ここ4年間で店舗数は徐々に減少しています。その結果、2022年4月時点の店舗数は、2018年4月と比較して13.6%減となりました。
ロッテリアの創業は1972年。マクドナルド(日本)がこの前年に創業し、モスバーガーは同年に創業しています。以来50年にわたり大手ハンバーガーチェーンの一角を担ってきたわけですが、店舗数の推移をみると、近年は劣勢が否めない状況です。


ロッテリア店舗数 年推移

フレッシュネスバーガー ~4年前と同水準~

2020年4月に前年同月に比べて15店と大きく増えたものの、2022年にかけて増えた分が減少し、2022年4月の店舗数は4年前とほぼ同数に落ち着いています。
同チェーンは、「牛角」などを手掛けるコロワイドグループのフレッシュネス社が運営し、2021年に30年の節目を迎えています。フレッシュネス単独の決算は公開資料がないためわかりませんが、店舗数の上では4年前に戻った状態です。


フレッシュネス店舗数 年推移

サブウェイ ~4年間で46%減~

2019年4月に前年同月から激減し(141店減)、翌2020年は14店戻したものの、2021、2022年と再び連続して減少しています。結果、2022年4月時点の店舗数は、2018年4月と比較して46%減と半減に近い落ち込みとなっています。
サブウェイは世界最大の飲食チェーンといわれていますが、日本では苦戦を強いられています。「米国では夕食としてもサンドウィッチを食べるが、日本は昼食のみ」など理由はさまざま考えられますが、日本での拡大・定着はなかなか進まないようです。


サブウェイ店舗数 年推移

バーガーキング ~2021、2022で大幅増加~

2018~2020年はほぼ横ばい状態であったものの、2021年4月に前年同月比23店増、2022年には33店増と、2年連続で大きく増加しています。
バーガーキングの日本上陸は1993年ですが、事業譲渡・撤退・再上陸などの紆余曲折を経て今日に至っています。香港の投資ファンドが設立した会社の運営の下、2019年に不採算店の大量閉店など改革が実施されたのを機に良い方向に回り出し、その後の出店攻勢が始まったようです。
さらに2022年1月、この投資ファンドがバーガーキング事業(日本と韓国)の売却方針を発表したことで、新たな局面を迎えています。2年間で55店超拡大している店舗展開への影響など、今後の動向が注目されます。


バーガーキング店舗数 年推移

ファーストキッチン ~別ブランド店への転換で激減~

2019年4月時点で129だった店舗数が、翌年の同月には70店まで一気に減少しています。その後も徐々に減少し、2022年4月の店舗数は4年前と比べて57%の激減となりました。
しかし、この激減には理由があります。かつてサントリーホールディングスの100%子会社だった「ファーストキッチン株式会社」は2016年、米国発のハンバーガーレストランチェーンを展開する「ウェンディーズ・ジャパン合同会社」に譲渡されました。その後ファーストキッチンの店舗をウェンディーズとのダブルブランド「ウェンディーズ・ファーストキッチン」に転換する形で出店を進めているため、「ファーストキッチン」単独ブランドの店舗は大きく減った、というわけです。「ウェンディーズ・ファーストキッチン」の店舗数をカウントしたところ、現在(2022年5月時点)53店の展開となっています。


ファーストキッチン店舗数 年推移

クアアイナ ~4年間で10%増の順調な伸び~

2020年から3年連続で1店ずつ店舗が増加し、2022年4月時点で全国計33店舗。4年前と比べ10%増の順調な増加率となりました。
クアアイナはハワイ発のハンバーガーショップですが、店舗の大半を日本国内が占めています。特徴のひとつは「高価格」であることですが、同チェーンの日本1号店出店は1997年。2015年頃から起こっている「高級(グルメ系)ハンバーガーブーム」でにわかに増えたチェーンとは一線を画す存在です。


クアアイナ店舗数 年推移

ドムドムハンバーガー ~減少傾向も下げ止まりみえたか~

2019年4月は、前年同月比5店減と店舗数規模の割には大きく減少し、2020・2021年は2店ずつ減っています。2022年4月時点は前年と変わりなく、下げ止まった感があります。
ドムドムハンバーガーは日本初(※)のハンバーガーチェーンで、マクドナルド上陸の前年・1970年に第1号店を出しています。最盛期には400店舗近くを展開していましたが、事業譲渡などさまざまな経緯ののち、2017年に新しい体制下での経営がスタートしました。2018年に就任した新社長のユニークな経歴や新しいメニュー開発が話題を呼び、2021年3月期決算では売上高を前年比109%として黒字化を達成しています。長い下降傾向を経て、立て直しが緒に就いたばかり、といったところです。


※1963年、米国統治下の沖縄に出店した「A&W(ランキング11位)」を除く。


ドムドムハンバーガー店舗数 年推移

【まとめ】「好調持続」に「仕切り直し」、「新規参入」・・・今後の展開やいかに

近年、ハンバーガー業界では「グルメ系ハンバーガーブーム」で高級路線の出店が活発化し、それに伴って小規模チェーンの数は増加傾向にあります。また、コロナ禍でテイクアウト中心のファストフードが好調という背景もあり、ロイヤルホールディングスの「ラッキーロッキーチキン」や焼き鳥チェーン・鳥貴族の「トリキバーガー」のように、他業態大手からの新規参入も盛んになっています。その結果、参入増による競合激化の懸念が出始めています。

民間信用調査会社・東京商工リサーチの発表によると、2021年度のハンバーガー店倒産(負債1000万円以上)が、前年度の1件から一気に6件に増加した、とのことです。
しかし、当社ランキングに登場しているチェーン(10店舗以上)はほぼ変わっていないため、2021年度内に淘汰されたハンバーガー店は「参入増とコロナ禍の影響を受けた小規模店」ではないかと推察されます。

一方、上記のチェーン別年推移でも触れたとおり、大手チェーンは好決算もしくは業績が急回復。コロナ禍の下では、ドライブスルー設備やデリバリー体制を備え、さらに強化していた大手チェーンに風が吹いたとみられます。また、業績不振や運営会社の変遷など紆余曲折を経た中・小チェーンも心機一転、着実に歩みを進めており、業界全体としては明るいムードが漂っているのも事実です。

今後も大手チェーンの快進撃は続くのか。グルメ系ハンバーガーブームで誕生した小規模チェーンや個店、チキンバーガーなどの新規参入組のうち、どれくらいがランキングに登場するまで成長していくのか、どれくらいのチェーンが競合激化で淘汰されていくのか。また、仕切り直しで再生の道を歩むチェーンが順調に業績や店舗数を伸ばしていけるのかなど、各チェーンの今後の動向が気になるところです。


本記事は当社のチェーン店舗データをもとに作成しています


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