【2022年版】寿司チェーンの店舗数ランキング

2022年10月17日 | 業界・地域分析

寿司チェーン店

従来からの人気に加えてテイクアウト・デリバリー需要の盛り上がりにより、コロナ禍でも売り上げ順調とみられてきた寿司チェーン業界。店舗数ではどのような動きをみせているのでしょうか。
今回は、当社のチェーン店データを元に、寿司チェーンの2021年7月~2022年7月の店舗数推移やチェーン別ランキング、前年同月比増減状況などを集計しました。また、2018~2022年の店舗数年推移をチェーン別に比較することにより、ここ4年間の業界動向を探ってみます。


データの集計方法について


  • 集計元のチェーン店データは、チェーン店の公開情報を当社が調査・収集したものです。すべてのチェーン店を網羅したものではありません。また、実態とは異なる場合がありますのでご了承ください。
  • 2022年7月時点で、国内に10店舗以上展開しているチェーン店を集計の対象にしています。
  • 当社のチェーン店データ調査・収集は毎月を基本としていますが、隔月など定期収集のチェーンもあります。表・グラフの対象月に収集がなかったチェーンの場合、当月時点で最新のデータを記載しています。
  • 店舗数の増減率(%)は、2022年7月と2021年7月の対比で算出しています(小数点第3位以下は四捨五入)。

【月別推移】寿司チェーン 店舗数(全体、2021年7月~2022年7月)

↑3.89% すべての月で前月の店舗数を上回る推移


寿司チェーン全体の店舗数(2021年7月~2022年7月)は、すべての月で前月を上回って推移しています。月々の増加数は2~22店と少なめながら年間通して増え続けた結果、2022年7月と前年7月を比較した前年同月比では3.89%の増加となりました。


寿司チェーン店舗数 月別推移

店舗数の前年同月比増減率

業種 2021年7月 2022年7月 増減率(%)
寿司チェーン 4,166 4,328 +3.89

【2022年版】寿司チェーン 店舗数ランキング(上位30)

上位5チェーンは店舗数が着実に増加


チェーン別店舗数ランキングを7月の前年同月比でみると、上位5チェーンはいずれも店舗数が着実に増加しています。この中で9.41%増と最も大きな伸びを示しているのはランキング1位の「スシロー」で、6.16%増の「くら寿司」がこれに続いています。“寿司屋が始めた海の丼”がキャッチフレーズの「丼丸(5.09%増)」と宅配寿司「銀のさら(4.74%増)」も比較的高い増加率を示し、ランキング2位の「はま寿司」は3.52%と堅調に伸ばしています。また、ランキング9位の「魚べい」も8.16%増と好調です。
一方、ランキング6位の「かっぱ寿司」は0.96%と微減しており、持ち帰りずし大手の「小僧寿し」も若干の減少となっています。

30位以内で最も大きな伸びを示しているのはテイクアウト専門店「スシロー To Go」ですが、同ブランドは2021年の2月頃から出店を本格化させているため、前年同月比215.5%増という高い数字になっています。「対面店舗」と「回転店舗」の両方を展開している「うまい鮨勘(本社・宮城県仙台市)」も、約22%の高い増加率をみせています。
ランキング下半分(15~30位)は、伸び率の高いチェーンが目立つ一方、プラスマイナスゼロの現状維持と店舗減少が合わせて10チェーン(約67%)にのぼっています。上半分の全般的な増加基調とはやや異なる傾向を示しています。

チェーン別 店舗数ランキング

順位 チェーン名 2021年7月 2022年7月 増減率(%)
1位 スシロー 595 651 +9.41
2位 はま寿司 540 559 +3.52
3位 くら寿司 487 517 +6.16
4位 丼丸 393 413 +5.09
5位 銀のさら 359 376 +4.74
6位 かっぱ寿司 311 308 -0.96
7位 小僧寿し 173 171 -1.16
8位 ちよだ鮨 161 164 +1.86
9位 魚べい 147 159 +8.16
10位 すし銚子丸 85 88 +3.53
11位 回転寿司みさき※ 84 83 -1.19
12位 がってん寿司 63 64 +1.59
13位 活魚廻転寿司 にぎり長次郎 59 60 +1.69
13位 すしざんまい 62 60 -3.23
15位 にぎりの徳兵衛 43 43 0
16位 平禄寿司 41 41 0
17位 魚がし鮨 37 40 +8.11
18位 大起水産回転寿司 31 31 0
19位 うまい鮨勘 23 28 +21.74
20位 寿しまどか 27 26 -3.70
20位 魚魚丸 25 26 +4.0
22位 元祖寿司 28 25 -10.71
22位 回転寿司すし丸 24 25 +4.17
22位 スシロー To Go 8 25 +212.50
25位 魚屋路 22 24 +9.09
26位 函太郎 23 23 0
26位 すし三崎港 27 23 -14.81
26位 街のみなと 24 23 -4.17
26位 ばらずし 23 23 0
30位 すし三崎丸 21 19 -9.52

※リブランディング(ブランド再構築)をおこなっているため、2021年7月時点のチェーン名は「海鮮三崎港」。


ランキングは当社のチェーン店舗データをもとに作成しています


日本ソフト販売が提供する、全国のチェーン店舗データ(飲食店・コンビニ・ドラッグストアなど)についての詳しいサービス情報は、こちらからご覧いただけます。


【年推移】チェーン別 店舗数(2018~2022年7月時点)

スシロー ~右肩上がりに増加~

ここ4年の推移をみると、21、32、41、56店と右肩上がりに店舗数を増やしており、2022年7月の対2018年比は約30%と大きく増加しています。

このように店舗数を順調に伸ばしており、2021年には過去最高の業績が伝えられた「スシロー」ですが、雲行きが変わりつつあります。
親会社「FOOD & LIFE COMPANIES」の2022年度第3四半期(2022年4月1日~6月30日)報告書等によると、国内スシロー事業の売上収益は前年同期比で4.2%増加したものの、セグメント利益は40.1%の大幅減。海外事業が順調に回復する一方で、国内6~9月の既存店売上高が前年比100%を割る厳しい状況となっています。
理由について資料では「コロナによる消費者の行動変容により客数回復に遅れがある事に加え、景品表示法に係る措置命令を受け、お客様の信頼を失う事案を発生させてしまった事により客数が減少し、売上が想定を大幅に下回る結果となった」と説明しています。


スシロー店舗数 年推移

はま寿司 ~年々順調に増加~

11、13、22、19店舗と毎年堅実に店舗数を増やしており、2022年は4年前と比べてプラス13.2%の順調な増加率を示しています。

運営会社「ゼンショーホールディングス」の2022年3月期決算短信(連結)によると、グループ内で「はま寿司」が属する「ファストフードカテゴリー」は、既存店売上高前年比が106%と増加しました。さらに、2023年3月期第1四半期(2022年4月1日~6月30日)では前年比121.5%となり、確かな回復が窺える状況です。


はま寿司店舗数 年推移

くら寿司 ~4年間の増加率が断トツ~

上記の大手2社同様に右肩上がりの推移を示していますが、2020年の増加数が123店舗と突出している点が特徴的。このため4年前と比べると増加率で56.7%、店舗数で約190増えています。

運営会社「くら寿司」の2022年10月期 第3四半期(2021年11月1日~2022年7月31日)決算短信(連結)によると、売上高が前年同期比で21.8%増加し、営業利益はマイナスとなったものの、経常利益(111.6%増)と純利益(121.0%増)は大幅に増加しています。期間中も国内に加えて米国・台湾で積極的な出店を進めた結果、「売上高は日米台3か国全てで過去最高を更新した」とのこと。コロナ収束後をにらみ、今後も海外含めて積極的な出店を継続していく構えです。


くら寿司店舗数 年推移

丼丸 ~減った分を取り戻し、2018年比は微減に~

2019・2020年は連続して店舗数が減少したものの、2021年と2022年でほぼ取り戻し、2022年の店舗数は4年前に比べ0.7%の微減となりました。

「丼丸」は「株式会社ササフネ」が展開するお持ち帰りの海鮮丼専門店。売上高等は公開資料がないためわかりません。
同チェーンは一般的なフランチャイズのような本部がなく、各オーナーが独自の経営スタイルで自由度の高い運営をおこなう「のれん加盟」が特徴のビジネスモデルです。東京下町の寿司店が2007年に1号店を出店し、2012年からのれん加盟店の公募を開始、以来約10年で400店舗を超えるチェーンに成長しています。


丼丸店舗数 年推移

銀のさら ~2年連続で増加~

2021年、2022年と連続して前年を上回っています。この結果、2022年は2020年に比べて5.6%の堅調な増加となっています(※)。

親会社「ライドオンエクスプレスホールディングス」の2023年3月期第1四半期(2022年4月1日~6月30日)決算短信(連結)をみると、売上高は前年同期に比べ1.5%の若干減に止まっていますが、営業利益や経常利益、純利益がいずれも50~60%台の大幅減となっています。デリバリーの特需効果が薄らいできたことや、「資源価格上昇による売上原価の増加」「積極的な出店戦略による販売費・一般管理費の増加」などが業績に影を落とす要因となっているようです。
「銀のさら」の特徴は、自前の配送網を持つ「宅配寿司チェーン」という点ですが、近年ではテイクアウト併設型店舗の出店を推進し、持ち帰り需要の取り込みにも力を入れています。


※同チェーンは2020年から当社の収集対象となったため、2020~2022年の年推移(7月時点)で比較しています。


銀のさら店舗数 年推移

かっぱ寿司 ~前年を下回って推移~

12、12、4、3店舗と、年々減少を続けています。2021、2022年と最近になるつれ減少幅は縮小しているものの、4年間では約9%減となりました。

運営会社「カッパ・クリエイト」の2022年3月期 決算短信によると、連結の売上高は前期比で3.6%増加しており、主力の「回転寿司事業」に限ってみても1.3%増と若干ながら増えています。しかし、営業損失と経常損失(連結)の赤字幅は前期に比べてさらに広がっており、依然厳しい状況が続いています。
また、2022年9月末、同社社長が不正競争防止法違反疑いで逮捕されるという事態が起こり、今後の経営や業績への影響が懸念されるところです。


かっぱ寿司店舗数 年推移

小僧寿し ~4年間を通して減少続く~

35、7、7、2店と年々減少し続けています。2019年を底に減少幅は縮まりつつありますが、2018年と比べた減少率が23.0%と、上位10チェーン中で最も大きな落ち込みとなっています。

「株式会社小僧寿し」の2021年12月期 決算短信(連結)によると、同社「持ち帰り寿し事業等」の売上高は前年同期比13.8%増と好調で、続く2022年12月期 第2四半期決算短信(連結)でも、2.2%の増加をキープ。しかし、営業損失と経常損失は前年から拡大傾向にあります。原因については「海産物の原料価格の高騰による仕入原価の上昇」や「子会社化した食品スーパーのリソースを活かした『総合小売事業』推進に時間を要している」などの点を挙げています。


小僧寿し店舗数 年推移

ちよだ鮨 ~ここ3年は少しずつ増加~

2019年は4店減少したものの、その後は毎年少しずつ増えています。その結果、4年前との対比では、0.6%の微増となりました。

運営会社は「株式会社ちよだ鮨」で、1959年設立と長い業歴を持つ会社です。持ち帰りすし(ちよだ鮨、千代田鮨)をはじめ、回転すしや立ち食いすしのブランドを首都圏中心に展開しています。すしネタの要となるこだわりの「まぐろ」は、同社が経営する豊洲市場内の仲卸会社が仕入れを担当しています。


ちよだ鮨店舗数 年推移

魚べい ~対2018年増加率36%と高水準の伸び~

元気寿司グループの「魚べい」は、8、11、11、12店と、毎年10店舗前後を増やしています。対2018年比で約36%増と、「くら寿司」に次ぐ高い増加率をみせています。

宇都宮市に本社を置く「元気寿司株式会社」が運営する3ブランドのうち、「魚べい」がメインブランドに成長。同社の「月次売上高前年比推移表」によると、2020年度の既存店売上高前年比はコロナ禍の影響からか86.4%と割り込んだものの、2021年度は一転105.5%の増加に。さらに、2022年度に入ると4~9月すべて前年を上回り、特に8・9月はそれぞれ115.6%・119%と増加幅が拡大しています。2023年3月期第1四半期(2022年4月1日~6月30日)決算短信(連結)においても、売上高が前年同期に比べ18%増加し、営業利益や経常利益も増えています。
店舗数の推移をみる限り、こうした業績の動きとは特に関係なく着々と店舗展開を進めている印象です。


魚べい店舗数 年推移

すし銚子丸 ~4年前比は小幅の減少~

2020年に5店舗減少したのが響いて、4年前と比べ1.1%の小幅な減少となりました。

「すし銚子丸」の運営会社は千葉市に本部を置く「株式会社銚子丸」。銚子港で獲れた新鮮な食材を直送により使用し、「回転寿司」業態を主体に展開しています。
同社の2023年5月期 第1四半期(2022年5月16日~8月15日)決算短信(非連結)によると、売上高が前期比9.0%増となり回復傾向をみせています。しかし、営業利益は、原材料価格・物流費の上昇、修繕費・消耗品費の増加等により46.3%減となっています。


すし銚子丸店舗数 推移

【まとめ】「おおむねずっと好調」のはずが・・・

30位以内のチェーンを「主とする業態」で分類すると、「回転寿司」が18、「持ち帰り」が6、「宅配寿司」が1、「そのほかの業態」が5チェーン。「そのほかの業態」としては、「対面で職人が握る従来スタイル」や「回転寿司と従来スタイルをほぼ同等の比重で展開」などの例が含まれています。

店舗数ランキングの多数を占める「回転寿司」は、2019年までは全般的に右肩上がりの成長を続けていましたが、2020年はコロナ禍の影響により前年実績を下回るチェーンが目立ちました。しかし2021年には早くも売り上げが回復し、2022年に入っても基本的には回復傾向が続いています。
一方、1980~90年代に隆盛を極めた「持ち帰り寿司」の中には、コロナ禍前は厳しい経営状況に置かれていたチェーンもありました。ところがこちらも、デリバリーの強化等が功を奏し息を吹き返す形となっています。

ただ、このところ業界共通の悩みである「海産物価格高騰による仕入原価の上昇」が業績に重くのしかかり、長年維持してきた価格の値上げに踏み切るチェーンが相次ぐ事態となっています。また、「おとり広告」の問題発覚や不正競争防止法違反容疑による社長逮捕など、ここへきて消費動向以外の面での問題が立て続けに起こっており、好調だった大手チェーンの業績にも影が差し始めています。
そんな局面を乗り越えて成長軌道を維持するのか、それともこれまでとは違った風景を目にすることになるのか、今後の動向が注目されます。


本記事は当社のチェーン店舗データをもとに作成しています


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