【2023年版】ホテル・旅館が多い市区町村ランキング

2023年11月13日 | 業界・地域分析

旅行関連業2023年イメージ

レジャー・観光・ビジネスと 人流が本格的に回復している2023年。コロナ禍前に戻りつつある現在、宿泊施設数はどのように変化しているのでしょうか。
今回は、当社の企業データベース(電話帳情報 ※1)を元に、ホテル・旅館・ビジネスホテル数のランキングを それぞれ「市区町村単位」に集計。コロナ禍前(※2)との比較もしてみました。


◎当記事では、電話帳の登録件数を「施設数」としています。

※1 2023年9月集計データ。

※2 2019年9月集計データ。


データの集計方法について


  • 集計元のデータベースは、当社が全国の企業電話帳を1,140種類の業種(ジャンル)に分類したものです。今回は「トラベル」に分類された中から3ジャンルの情報を使用しています。すべての施設を網羅したものではありません。また、実態とは異なる場合がありますのでご了承ください。
  • 電話帳の掲載1件に対して複数の業種を付加する場合があるため、同一掲載のデータが業種違いで複数存在することがあります。
  • 施設数の増減率(%)は、2023年9月と2019年9月の対比で算出しています(小数点2位以下は四捨五入)。
  • 政令指定都市は区を分けて集計しています。

■目次(クリックすると各項目に移動します)

ホテル 【表-1】「ホテル」が多い市区町村ランキング
旅館 【表-2】「旅館」が多い市区町村ランキング
ビジネスホテル 【表-3】「ビジネスホテル」が多い市区町村ランキング
【まとめ】 宿泊需要は急回復しているものの・・・

ホテル(全国:2万364施設)

※文中のカッコ( )内は、ホテルの数


【ランキング】上位は有名リゾート または 県庁所在地


全国で最もホテルが多い市区町村(ランキング1位)は、長野県の下高井郡山ノ内町(246)。山ノ内町(やまのうちまち)は、志賀高原や湯田中渋温泉郷、北志賀高原など人気の観光地をもち、「温泉に入るサル」で有名な地獄谷野猿公苑もこの町にあります。

ランキング2位は 那覇市(220)で、以降、金沢市(178)、福岡市博多区(174)、札幌市中央区(171)と、地方の都市部(県庁所在地)が続いています。観光の拠点としての側面も兼ね備えた市や区が上位に揃っているといえます。
そして、6位はふたたび スキーや登山など人気の山岳リゾート、北安曇郡白馬村(155)がランクイン。7位は同じ長野県の松本市(149)となっています。
また、8~10位は 松山市(148)、鹿児島市(140)、大阪市中央区(135)と、やはり 県・府庁所在地が入っています。

長野県は50位以内に最も多い 7市町村(山ノ内町、白馬村、松本市、長野市、茅野市、軽井沢町、上田市)がランクインしてしており、2番目に多いのは 東京都の5区(台東区、港区、千代田区、新宿区、中央区)。観光地型立地と都市型立地の好対照となっています。


【コロナ前との比較】4年前に比べ大幅増の 3市区とは?


2023年9月と2019年9月のホテル数を比べてみると、ランキング50位以内で増加しているのは 金沢市、大阪市中央区、伊東市、東京都千代田区、京都市下京区、宮古島市、函館市 の7つの市と区に止まっています。このうち4年間で最も高い増加率を示したのは、宮古島市(18.8%・16施設増)。千代田区(10.2%・10施設増)と大阪市中央区(8.9%・11施設増)も高い伸びをみせています。

一方、ランキング50位中 2ケタ台の減少率となった市区町が「23」にのぼっており、全体的にホテルの数は減少しています。


【表-1】ホテルが多い市区町村ランキング(2023年9月集計データ)

順位 市区町村 2019年9月
(施設)
2023年9月
(施設)
増減率(%)
1位 下高井郡山ノ内町 276 246 -10.9
2位 那覇市 230 220 -4.3
3位 金沢市 172 178 +3.5
4位 福岡市博多区 175 174 -0.6
5位 札幌市中央区 179 171 -4.5
6位 北安曇郡白馬村 168 155 -7.7
7位 松本市 157 149 -5.1
8位 松山市 178 148 -16.9
9位 鹿児島市 152 140 -7.9
10位 大阪市中央区 124 135 +8.9
11位 新潟市中央区 166 132 -20.5
11位 伊東市 129 132 +2.3
13位 広島市中区 133 119 -10.5
14位 東京都台東区 138 118 -14.5
15位 富山市 143 115 -19.6
15位 高知市 130 115 -11.5
15位 別府市 131 115 -12.2
18位 日光市 135 114 -15.6
18位 長野市 137 114 -16.8
20位 高松市 118 113 -4.2
21位 東京都港区 123 112 -8.9
22位 長崎市 115 111 -3.5
23位 茅野市 118 109 -7.6
24位 東京都千代田区 98 108 +10.2
24位 東京都新宿区 127 108 -15.0
24位 福岡市中央区 121 108 -10.7
27位 高山市 133 107 -19.5
27位 京都市下京区 104 107 +2.9
29位 宮崎市 109 105 -3.7
30位 福山市 114 103 -9.6
31位 石垣市 106 102 -3.8
32位 宮古島市 85 101 +18.8
33位 足柄下郡箱根町 110 99 -10.0
34位 岡山市北区 109 96 -11.9
35位 函館市 92 95 +3.3
35位 北佐久郡軽井沢町 97 95 -2.1
37位 浜松市中区 109 92 -15.6
37位 徳島市 107 92 -14.0
39位 名古屋市中区 109 91 -16.5
40位 熊本市中央区 94 90 -4.3
41位 大阪市北区 105 89 -15.2
42位 上田市 107 88 -17.8
43位 仙台市青葉区 110 86 -21.8
43位 南魚沼郡湯沢町 99 86 -13.1
43位 霧島市 102 86 -15.7
46位 南都留郡富士河口湖町 86 84 -2.3
47位 長岡市 92 83 -9.8
48位 水戸市 88 82 -6.8
48位 東京都中央区 88 82 -6.8
50位 佐世保市 86 81 -5.8

ランキングは当社の企業データベースをもとに作成しています


1,140業種に分類した全国の企業情報(電話帳情報)を、テキストデータで提供するサービスについて、詳しい情報を掲載しています。


旅館(全国:2万1,353施設)

※文中のカッコ( )内は、旅館の数


【ランキング】ちょっと渋め?の 温泉郷が上位にランクイン


旅館が最も多い市区町村は、ホテルでも1位だった下高井郡山ノ内町 と 岐阜県の高山市。有名リゾート・観光地が同数(282)で並んでいます。
次いで多いのが 松本市(240)で、由布市(224)、北安曇郡白馬村(221)、南魚沼郡湯沢町(199)、兵庫県 豊岡市(189)、鳥羽市(163)、南魚沼市(162)、日光市(161)までがトップテン。特徴的なのは、これらすべてが「温泉地・温泉郷」がある市町村という点で、都市部にも多いホテルとは明らかに分布が異なっています。
また、より全国的に広く知られる、別府市(159)や 足柄下郡箱根町(155)、吾妻郡草津町(129)、熱海市(108)などの温泉地が、11位以降にランクインしている点も意外な感じがします。


【コロナ前との比較】熊本県の 2市町で増加も、ホテル以上の減少目立つ


2023年9月と2019年9月の旅館数を比べてみると、増加しているのは 熊本県の天草市(2.7%・2施設増)と、同じく熊本県 阿蘇郡南小国町(1.4%・1施設増)のみ。佐賀県の唐津市がプラスマイナスゼロとなっています。理由はわかりませんが、この4年間で増加 または 現状維持の地域がすべて「九州」である点が興味深いところです。

一方、減少した市区町村は ランキング50位中 47にのぼり、うち減少率 2ケタ台が「40」と、大半の市区町村で大幅減となっています。旅館は地方の観光地に多いため、ホテル以上に大きくコロナ禍の影響を受け、深刻な人手不足や後継者難等の課題に直面しているのではないかと推察できます。


【表-2】旅館が多い市区町村ランキング(2023年9月集計データ)

順位 市区町村 2019年9月
(施設)
2023年9月
(施設)
増減率(%)
1位 下高井郡山ノ内町 316 282 -10.8
1位 高山市 340 282 -17.1
3位 松本市 270 240 -11.1
4位 由布市 244 224 -8.2
5位 北安曇郡白馬村 266 221 -16.9
6位 南魚沼郡湯沢町 229 199 -13.1
7位 豊岡市(兵庫県) 219 189 -13.7
8位 鳥羽市 194 163 -16.0
9位 南魚沼市 197 162 -17.8
10位 日光市 182 161 -11.5
11位 別府市 197 159 -19.3
12位 足柄下郡箱根町 177 155 -12.4
13位 妙高市 198 154 -22.2
14位 いわき市 169 143 -15.4
15位 上田市 182 140 -23.1
16位 福島市 164 139 -15.2
16位 長野市 160 139 -13.1
18位 吾妻郡草津町 134 129 -3.7
19位 伊東市 111 109 -1.8
20位 熱海市 134 108 -19.4
21位 京丹後市 107 101 -5.6
22位 佐渡市 107 95 -11.2
23位 利根郡片品村 107 93 -13.1
24位 渋川市 101 92 -8.9
25位 利根郡みなかみ町 105 90 -14.3
26位 鶴岡市 114 89 -21.9
27位 下呂市 111 88 -20.7
27位 霧島市 108 88 -18.5
29位 那須塩原市 107 85 -20.6
30位 大崎市 102 84 -17.6
30位 志摩市 110 84 -23.6
32位 松山市 97 81 -16.5
33位 山形市 100 80 -20.0
34位 長岡市 97 79 -18.6
34位 加賀市 101 79 -21.8
34位 松江市 97 79 -18.6
37位 花巻市 82 78 -4.9
37位 唐津市 78 78 0
39位 天草市 75 77 +2.7
40位 七尾市 86 75 -12.8
40位 下伊那郡阿智村 77 75 -2.6
40位 阿蘇郡南小国町 74 75 +1.4
43位 知多郡南知多町 85 73 -14.1
44位 伊豆市 96 71 -26.0
45位 上越市 93 70 -24.7
45位 敦賀市 79 70 -11.4
45位 北安曇郡小谷村 96 70 -27.1
48位 郡山市 87 69 -20.7
49位 仙北市 81 68 -16.0
49位 京都市下京区 87 68 -21.8

ビジネスホテル(全国:1万1,346施設)

※文中のカッコ( )内は、ビジネスホテルの数


【ランキング】上位のほとんどが県庁所在地


ビジネスホテルが多い市区町村ランキング1位は、東京都の台東区(120)。台東区はホテルの数(118)でも 東京都内で最も多い区ですが、ビジネスホテル数の方が若干上回っています。
一方、2~10位は、福岡市博多区(115)、那覇市(110)、高知市(98)、鹿児島市(88)、長野市(86)、岡山市北区(85)、名古屋市中区(84)、富山市(83)、大阪市中央区(83)と、すべて県庁所在地がランクインしています。
ビジネスホテルランキングの50位以内には、ホテルや旅館でランクインしていた観光・リゾート地や、「町」「村」はほとんど見られず、大都市の行政区や県庁所在地、地方第2の都市などが多くを占めています。


【コロナ前との比較】ホテル・ビジネスホテルともに増加しているのは、万博会場に近いあの区


2023年9月と2019年9月のビジネスホテル数を比べてみると、増加しているのは 大阪市中央区(6.4%・5施設増)、福島県のいわき市(1.5%・1施設増)、函館市(1.6%・1施設増)。中でも 大阪市中央区はホテル・ビジネスホテルともに4年前に比べて増加しており、減少が大半を占める中で ひときわ目立つ存在となっています。
一方、2ケタ台の減少率になった市区町村は「26」。旅館ほどではないものの、ホテルより若干多くの市・区で減少しています。


【表-3】ビジネスホテルが多い市区町村ランキング(2023年9月集計データ)

順位 市区町村 2019年9月
(施設)
2023年9月
(施設)
増減率(%)
1位 東京都台東区 130 120 -7.7
2位 福岡市博多区 128 115 -10.2
3位 那覇市 124 110 -11.3
4位 高知市 104 98 -5.8
5位 鹿児島市 109 88 -19.3
6位 長野市 99 86 -13.1
7位 岡山市北区 97 85 -12.4
8位 名古屋市中区 117 84 -28.2
9位 富山市 90 83 -7.8
9位 大阪市中央区 78 83 +6.4
11位 松山市 92 82 -10.9
12位 高松市 92 80 -13.0
13位 金沢市 83 77 -7.2
14位 福山市 79 74 -6.3
15位 松本市 80 72 -10.0
15位 宮崎市 77 72 -6.5
17位 札幌市中央区 73 68 -6.8
17位 いわき市 67 68 +1.5
19位 仙台市青葉区 89 67 -24.7
20位 函館市 63 64 +1.6
20位 徳島市 74 64 -13.5
22位 新潟市中央区 71 61 -14.1
23位 名古屋市中村区 68 60 -11.8
24位 東京都中央区 64 59 -7.8
24位 四日市市 65 59 -9.2
24位 姫路市 62 59 -4.8
27位 倉敷市 61 56 -8.2
27位 大分市 65 56 -13.8
29位 宇都宮市 68 55 -19.1
29位 東京都新宿区 62 55 -11.3
31位 浜松市中区 58 53 -8.6
31位 熊本市中央区 56 53 -5.4
33位 福岡市中央区 59 52 -11.9
34位 富士市 55 50 -9.1
34位 佐世保市 51 50 -2.0
36位 山形市 60 49 -18.3
36位 東京都港区 55 49 -10.9
36位 東京都豊島区 53 49 -7.5
36位 米子市 66 49 -25.8
40位 水戸市 49 48 -2.0
40位 甲府市 55 48 -12.7
40位 広島市中区 55 48 -12.7
40位 長崎市 66 48 -27.3
44位 長岡市 47 43 -8.5
45位 旭川市 44 42 -4.5
45位 帯広市 52 42 -19.2
45位 京都市下京区 46 42 -8.7
45位 別府市 47 42 -10.6
49位 青森市 46 41 -10.9
50位 福島市 42 40 -4.8

【まとめ】宿泊需要は急回復しているものの・・・

当社データによると、全国のホテル・ビジネスホテルはコロナ禍以前に比べそれぞれ約11%減少し、旅館は約18%減少しています(2023年9月と2019年9月との比較)。代表的な3つの宿泊施設がともに減少傾向にある中で「特に旅館の減少幅が大きい」という現状が浮き彫りとなっています。

とはいえ、2023年は国内の人流・インバウンドの回復にともなって、ホテル・旅館需要も急回復しており、業界は完全に「アフターコロナ」に突入。外資系を中心に高級ホテルの開業が相次いでいます。
目下 最大の課題は、コロナ禍で離職した人員がなかなか戻らないといわれる「人手不足」の問題。人手不足対策や業務効率化のためのデジタル投資、人件費の高騰が経営に影響し、大手と中小の対応力の格差がますます広がることも懸念されます。


本記事は当社の企業データベースをもとに作成しています


1,140業種に分類した全国の企業情報(電話帳情報)を、テキストデータで提供するサービスについて、詳しい情報を掲載しています。


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