企業が顧客データの整備を決断したタイミング[5つの事例]
2024年12月17日 | データベース
ほとんどの企業は「顧客データ」「取引先データ」を社内に保持し、日々の業務で新規登録、追加、変更、削除 を繰り返しています。そして多くの場合、住所・名称が古くなったり、オペレーター毎の入力ルールの違いや重複登録などにより、データ品質が低下していきます。
こうしたデータの汚れ(不整合)をきれいにして 利活用に適したデータに整える作業が「データ整備」で、当社(日本ソフト販売)は20年以上にわたり、このデータ整備に関わるサービスを提供しています。
今回は「企業がデータ整備を決断したタイミング」をテーマに、当社が手掛けてきた数々の事例から 5つをピックアップしてご紹介します。
5つの事例について、それぞれ以下の流れでご紹介します
- 【タイミング・課題】 データ整備を決断したタイミングとそこに至った経緯・課題
- 【内容】 どのようなデータ整備(データクレンジング・名寄せ処理等)を実施したか
- 【結果】 データを整備した結果(データがどう変わったか)
- 【効果】 業務・経営への効果
目次
◆「データ整備」の概要 ◆
- まずは、サンプルデータの調査やお客様が目指すデータの状態等の情報を聞き取り、データ整備の方針や納品方法等を検討。最終的に利用する形に最適なデータクレンジング・名寄せを設計します。
- データクレンジングでは、「誤登録」や「重複登録」「表記のゆれ※」「情報の欠如」などデータの不整合を洗い出し、修正や削除、補完をおこないます。システムによる一括処理や人間による判断でデータを整え、標準化します。
- 当社サービスの基本的な方法としては、企業の顧客データベースと当社保有の各種データベース(最新の電話帳データベース、局番辞書、住所辞書、住所変換マスター、姓名辞書、法人名辞書、郵便番号辞書、電話番号使用状況等)とをマッチングすることにより、データを最新化・正規化したり、必要な情報を補完したりします。
- 名寄せは、データクレンジングによって洗い出された「重複データ」を一つの正しいデータに統合します。
※一つの意味を持つ言葉に、複数の表記が存在する状態をいいます。 例:同じ法人を表す複数の法人名(登記名、通称、略称、ブランド名等)がデータベースに混在する、など。
<データ整備の事例1> 食品メーカー A社
卸売会社から販売店データを集めて「活用できるデータ」に
【タイミング・課題】
食品メーカーにとって、自社の商品の魅力を直接消費者に訴求して購買意欲を高める「店頭販促」は必要不可欠です。A社の宣伝・広報部門では、効果的な店頭販促を実施するために全ての販売店を把握し、販促品の配布先を選定したいと考えました。
とはいえ、通常 商品は卸売会社を通して流通するため、基本的にメーカーは販売店情報を保有していません。そこで、卸売各社から納品先(販売店)の情報を集め、今後の販促戦略にも使える「取扱店データベース」を構築しようとしたところ、以下のようなデータの課題が発生しました。
- データのレイアウトがバラバラ。
- 同じ店舗のデータが複数ある。
- 電話番号がない。
- 店舗名が正しくない。
- 住所が欠落している。
- 誤字がある。
- 旧字がある。
- 全角・半角が混在している。
【データ整備の内容】
- 集めた販売店データのデータクレンジングを実施した。
- 電話番号と、住所がないデータを補完した。
- 旧字を常用漢字に統一した。
- 全角・半角の混在状態を、全角に統一した。
- 名寄せを実施した。
【結果】
- データのレイアウトが統一された。
- 重複データの見える化ができた。
- 販売店の名前が正確になった。
- 住所、郵便番号、電話番号が最新化された。
- 法人格が正式名で統一された。
- 全角・半角が統一された。
【効果】
- 寄せ集めたデータが「活用できるデータ」に変わった。
- 販促品の配布先選定を正確に判断できるようになり、的確かつ効果的な店頭販促が可能になった。
- 自社製品の取り扱い販売店に関して、必要な情報を探し出すのが容易になった。
- 販促業務が効率化し、限られた人数で有効な施策を打てるようになった。
- データの分析精度が上がり、迅速な意思決定ができるようになった。
<データ整備の事例2> 通信販売 B社
複数チャネルからの登録による、顧客データの重複状態を解消
【タイミング・課題】
B社は、ネットショップとカタログ雑誌を中心に通信販売をおこなっており、複数のチャネルから登録された顧客情報をシステムで一元管理しています。
自社のネットショップや他社ECサイトを通した注文の増加により、近年はネット注文の比重が高まりつつあります。とはいえ、紙のカタログはシニア層を中心に根強いニーズがあり、中には両方のチャネルを利用するお客様もいるため、今でも重要なツールとなっています。
このような通販業務全般で常に顧客情報を利用しているB社ですが、下記のようなデータの課題に悩まされていました。
- 古いままの住所、入力ミス等により間違った表記の住所がある。
- 電話番号や郵便番号など、欠けている情報がある。
- 同じ名前で一部の情報が異なるデータがある。
- 既存のお客様にもかかわらず、「新規登録」されてしまったケースが多々ある。
- カタログ雑誌が宛先不明で戻ってきた。
- 同じカタログ雑誌を同じ人に複数送ってしまい、クレームを受けた。
【データ整備の内容】
- 顧客管理システムのデータクレンジングを実施した。
- 未登録の項目があるデータを補完した。
- 社内で決めた名寄せルールに従って、重複したお客様情報を検出し、統合した。
【結果】
- 顧客データが最新化・正規化された。
- 重複データを見える化したうえで、統合できた。
- 登録がなかった電話番号、郵便番号、カナ氏名などが補完できた。
【効果】
- 休眠顧客の注文や再登録、以前の登録と別のチャネルから新規登録があった場合でも、新規・既存の判断がしやすくなった。
- カタログの誤送付や戻りが減った。
- データ分析に基づきジャンル別カタログの送付先を決めるなど、マーケティングの精度が高まった。
<データ整備の事例3> 展示会・セミナー主催 C社
大量データの高速処理で、約50万件(全体の約1割)の名寄せに成功
【タイミング・課題】
展示会やセミナー等の企画・主催を手掛けるC社では、出展やセミナーへの企業の申し込み情報を保有・管理しています。以前は 企業の担当者が申し込み用紙に記入したものをC社でシステムに入力していましたが、近年では Web の申し込みフォームから直接入力していただく形をとっています。こうして長年蓄積された大量の企業データベースを、出展企業の分析や新規出展企業の開拓などに活かそうと試みていたところ、以下の課題が浮上しました。
- 誤入力のまま、古いまま、の住所がある。
- 入力ルールが浸透していないためか、データ状態に統一性がない。
- 同じ会社が違う社名で複数登録されている(正式名、旧社名、通称、略称など)。
- 部署が異なる同一人物が複数登録されている。
- 同一人物の漢字表記が、旧字体と常用体で重複して登録されている。
【データ整備の内容】
- C社のデータベースの状況やシステムの都合を考慮し、きめ細やかな処理を実施。複雑なデータ構造・書式に対応し、事前にデータ加工による書式統一をおこなった。
- 企業データベースをクレンジングした。
- 誤入力や不要データなど、ルールに則って入力していないデータ(入力仕様に準拠していないデータ)を洗い出して修正した。
- 一部情報が異なるだけの(部署異動など)同じ人物の名寄せを実施した。
- 不要な入力や誤入力、情報の欠損があるデータでも、一致率に応じて名寄せを実施した。
- データ量が多いため、4並列・10多重(高スペック機使用)による高速処理を実施。約500万件のデータを約3時間で処理した。
- 納品後にデータをスムーズに利用できるよう考慮し、3用途のファイルレイアウト(マージ用、検証用・一括処理用)で納品した。これにより、納品後、C社側での大量データのレイアウト整形が不要となった。
【結果】
- 最新化・正規化され、データ品質が向上した。
- データ全体の約1割(約50万件)の名寄せに成功し、重複データが減少した。
【効果】
- 宛先不明・宛名担当者の異動等によるダイレクトメールの戻りや停止要請、「同じ人に複数届いている」といった問い合わせが減少した。
- データの分析精度が上がり、迅速かつ的確な意思決定ができるようになった。
<データ整備の事例4> 医療機関・D健診センター
新システムの運用は、整備されたきれいなデータで
【タイミング・課題】
D健診センターは、旧社会保険庁の機関から平成21年に民営化した医療機関です。基幹システムで健診者や事業所、健康保険組合の情報を管理していますが、民営化以前からの古いシステムのため、新システムへリプレイス(入れ替え)することになりました。ただ、古いシステムで長年運用してきたデータには以下のような課題があり、新システムに移行するにあたって、データ整備の必要性に迫られました。
- 古いままの住所、古いままの名称 がある。
- 似ている名称の事業所が複数ある。
- 新しいスタッフに入力ルールが徹底されず、表記がバラバラ。
- システムに入力補助機能がなかったため、表記がバラバラ。
- 健診予約受付時に既存利用者と認識できず、重複登録してしまうケースが多々ある。
- 郵便物の戻りや、重複送付が増えている。
- 独自に名寄せを試みたが、表記の乱れが多すぎるためうまくいかなかった。
【データ整備の内容】
- 健診者、事業所、健康保険組合のデータから約36万件を対象にデータ整備を実施した。
- データクレンジングの細かいルール(大字・小字の表記は省略、住所の分割は1行18文字まで、省略しない法人格で統一、姓名分割を可能な範囲で行う、カナ名称を半角に統一する、など)を決め、名寄せの項目と条件を決定した。
- 同センターが指定したファイル転送サービスを使ってデータを受け渡し行い、3日間で処理を完了した。
【結果】
- 住所、郵便番号、名称、電話番号が最新化された。
- 誤入力・不正確な住所表記が訂正された。
- 住所、名称が全角で統一できた。
- 空白ルールが統一され、姓名が分割され、登録がなかった郵便番号・電話番号が補完された。
- データクレンジング後に名寄せをおこない、重複登録を統一できた。
【効果】
- 新システム稼働後は、データに関する現場からのクレームが少なくなった。
- 健診の予約受付時等に、新規利用者と既存利用者の判別がつきやすくなった。
- 過去の受診履歴の照会や予約受付業務がスムーズになり、時間短縮できた。
- データがきれいになったことにより、入力ルールの徹底や入力時点でのデータ品質維持に対する意識が高まった。
- 事業所データの集計や分析など、本格的なデータ活用を始める下地が整った。
<データ整備の事例5> 建材販売・加工・施工 E社
合併に備え、社内の複数データベースを一元管理
【タイミング・課題】
E社では、同社を存続会社とする他社との合併を前に、社内の別々の部署で管理されている複数のデータベース(基本情報、取引先情報、名刺情報)の一元管理をおこなうことにしました。
社内のデータを一本化して「横断的な分析が可能な状態」に整えておけば、合併後に他社のデータも比較的スムーズに統合できるのではないかと考えたこと、また、長年別々のデータベースで管理されていた情報は、以下のような課題が多いこと、が その理由です。
- データのレイアウトがバラバラ。
- 誤入力のまま、古いまま、の住所がある。
- 似ている名称の会社・事業所等が複数登録されている。
- 同じ会社が違う社名で複数登録されている(正式名、旧社名、通称、略称など)。
- 電話番号・郵便番号が欠けているデータがある。
- 不要なデータ(該当項目と関係のないメモ書きなど)の登録がある。
- 全角・半角が混在している。
【データ整備の内容】
- 複数データベースの住所・法人名を、それぞれクレンジングした。
- 誤入力や不要データ等を洗い出して修正した。
- 全角・半角の混在を、事前に決めたルールで統一した。
- 欠けている情報を補完した。
- クレンジングした複数データベースに法人番号を付加した。
- 付加した法人番号をキーに、複数データベースを企業単位で名寄せした。
- 法人番号をキーに外部情報(民間調査会社の企業情報)を付加した。
【結果】
- 住所、法人名、郵便番号、電話番号が最新化された。
- 誤入力・不正確な住所表記が訂正された。
- 法人番号をキーにすることにより、複数データベース間の重複登録が正確に名寄せできた。
- 複数データベースの一元管理が実現した。
【効果】
- 部署間での情報共有により、クロスセル・アップセルの売上効果が期待できるようになった。
- Life Time Value(顧客生涯価値)の測定や分析が可能となり、会社にとって価値の高い顧客を発見できるようになった。
- 付加価値情報(民間調査会社の企業情報)の付与により、事業の拡張性を判断したうえでの拡販提案が可能になった。
- 合併後、法人番号をキーに相手先データ(法人番号付加済み)をスムーズに名寄せ・統合できた。
<まとめ>データ整備を決断した6つのタイミング
企業が顧客データの整備を決断するのは、以下のような場面がタイミングになり易いことが、上記 5つの事例からわかります。
- データの汚れにより、「探している顧客が出てこない」「電話が通じなくなった」「重複して抽出され、どれが正しい情報かわからない」「新規のお客様か既存のお客様か判別できない」「ダイレクトメールの戻りが多い」など、業務遂行上の問題が生じた時(事例1~5)
- 別々に管理されていた複数のデータベースを統合して、データの運用・活用や分析に使いたい時(事例1、事例3)
- 部署間または別会社間での情報共有により、経営・営業面でのシナジー効果を生み出したい時(事例1、事例5)。
- 実店舗と自社ECサイト、他社ECサイト、カタログ、イベント、キャンペーンなど、複数のチャネルから顧客登録がある場合(事例2、事例3)。
- システムのリプレイスによるデータ移行が必要になった時(事例4)。
- 企業の経営統合・合併により、別々に管理されていた複数のデータベースの統合または連携の必要が生じた時(事例5)。
企業のデータ活用において、顧客・取引先データの品質が低下していては、業務の効率化も、データ分析も、DX戦略もうまくいきません。今回ご紹介した事例に限らず、「データの品質を高めたい」と思った時、気づいた時が、データ整備を検討するタイミングといえるのかもしれません。
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