基幹系システムの老朽化問題はなぜ解決が難しいのか

最終更新日 2021年4月1日 | システム

基幹系システムの老朽化

日本企業の基幹系システムは、全般的に「老朽化している」といわれています。その実情は、経済産業省が2018年9月の『DXレポート』で“2025年の崖”というインパクトある表現で指摘したのをきっかけに、改めて周知されることになりました。
同レポートでは「企業が生き残っていくためにはDX(※)のスピーディな推進が必須」であることを前提に、老朽化したシステムがDX推進の深刻な阻害要因になっていること、早急にシステム刷新を図る必要があることを、危機感を持って説いています。
激変するビジネス環境の中で競争に勝ち抜くため、デジタル変革が急がれる日本企業。その喫緊の課題にスポットを当てました。


※DX(デジタルトランスフォーメーション)
産業界においては、AI、Iotなど最新のデジタル技術を活用し、新しいビジネスの創出や事業構造の変革を図ること。企業のデジタル変革。



負のレガシー化が課題の基幹系システム

基幹系システムは、企業が業務を遂行するのに不可欠のシステムで、何を指して基幹系とするかは業種業態によって異なります。一般的には、生産・販売・配送・在庫管理、財務・会計、人事・給与等のシステムを指し、金融機関では勘定系なども加わります。

ここ数年、特に「2025年の崖」のレポートが出て以降、デジタル化に伴う企業のIT化は急ピッチで進められているものの、システム刷新・再構築に苦戦していたり、まだまだ古いシステムが多数残っているのが実情です。

ここで論じる「刷新の必要性に迫られるレガシーシステム」は、「DXに十分対応できないシステム基盤すべて」と規定します。省力化などを目的とした「守りのIT」に止まらず、デジタル変革を目指す「攻めのIT」に対応できない基幹システムを指します。

形態としては、50年以上の歴史があるメインフレーム上で運用されている文字通りレガシーなシステムはもちろん、クライアントサーバシステム、2000年代に主に大企業で導入ブームが起こった「ERP(統合基幹業務システム)」など。ほとんどは自社内で構築・運用するタイプで、クラウドコンピューティングが世に出て以降は「オンプレミス」と呼ばれているものです。

レガシー化の原因は、肥大化・複雑化・ブラックボックス化

基幹系システムの老朽化原因として必ず指摘されるのは、「長年の改修を重ねている」ことや「固有の業務ニーズに応じて機能の追加・拡張(アドオン)を繰り返した結果、プログラムが肥大化・複雑化している」ケースが多い点です。その結果、人手による運用の手間がかえって増えていたり、時代の要請に合わせて必要な機能を追加・変更したくてもできない状態を引き起こしています。

担当技術者の退職等によって中身を正確に把握する技術者がいなくなり、ブラックボックス化が進む、という問題も起きています。企業によっては「何かをいじるとどこにどんな影響が出るかわからないから大きな変更はできない」状況に陥り、放置状態となっているケースもあります。
若い技術者が先端のデジタル分野へシフトする状況もあり、担当者の高齢化など運用人材不足の面からも先々への危惧が高まっています。

また、国内企業のシステムは、部門や業務ごと別々に開発・追加された「つぎはぎ」が多く、これはシステムの分断、ひいては業務プロセスが分断されていることを意味します。この状態では新しいデジタル技術を導入しても範囲が限定され、効果も限定的なものとなってしまいます。
例えばAIやIoTなどビッグデータの解析によるデータ活用は、基幹系システムを含めたデータの統合基盤がなければ、やる意味がありません。業務の自動化も、一部だけの自動化で終わってしまいます。林立するシステムが有機的に連携・統合されないと、デジタル化本来の効果が発揮できないのです。

その結果、国内企業の多くの基幹系システムは新しいことがやりにくい上に、「古いシステムの保守・運用にIT投資の大半を費やし、デジタル化に回す予算が少ない」といった状況に甘んじているというわけです。

基幹系システム刷新が進まない、うまくいかない理由

システムの悩み

これまで基幹系システムで抜本的な刷新がなかなか進まない理由(1〜7)、また、うまくいかない理由(8〜9)としては、以下のような点が挙げられます。


  1. 複雑化しすぎてどこから手を付けていいかわからない
  2. お金がかかる
  3. 刷新の必要性を感じない(現場の要望は満たしている)
  4. セキュリティリスクが不安(※)
  5. ネットワークダウンが不安(※)
  6. コンプライアンスの確保ができない(※)
  7. 改善の効果や必要性が経営陣に理解されにくい
  8. 一部の部門だけで手掛けて全社的な取り組みになっていない
  9. 既存システムの機能の継承にこだわる
  10. 業務改革(業務プロセスの標準化等)が必要になるのでハードルが高い

※4〜6は、クラウド移行を含む場合。

「DXを見据えたシステム刷新」は業務改革が必須

上記のうち、「DXのための基幹系システム刷新」からみた最も本質を突く「うまくいかない理由」は、「9.既存システムの機能の継承にこだわる」と「10.業務改革(業務プロセスの標準化等)が必要になるのでハードルが高い」の2つです。

9については、企業は往々にしてまず「旧システムで使っていた機能を、現状のまま新システムに載せたい」と考えます。各現場としては、自社の業務や業界慣習に合わせて作り込まれたシステムをそのまま使い続けたいし、困ってもいない、というわけです。
日本企業は特にこうした独自の機能の追加が多く、パッケージのERPですらそのまま使わずカスタマイズして使用するケースが多いのが現状です。

10の理由も、「自社の業務や業界慣習に合わせた機能を使い続けたい」という企業のこだわりと関連があります。
今、企業が自社のDXを考えるとすると、基幹系システム刷新の前提として、クラウドやERPの活用が必要になります。そしてこの導入・移行の際、カスタマイズされた独自機能の多さがネックになってきます。
なぜなら、デジタル変革を支えるシステムが最大限の効果を発揮するには、業務の現場を改革し、できる限りシステムのやり方に業務を合わせる「業務改革」が必須であるからです。システムに備わった標準機能をフルに使い、デジタル関連などの新機能追加は、システムのバージョンアップで俊敏かつ柔軟に対応していくことがベストなのです。

自社のシステム刷新はどのやり方が最適か、を見極める

実際には「旧システムで使っていた機能を、現状のまま新システムに載せたい」という要望を汲み取った刷新の方法も、多くのITベンダーなどが様々な形で提供しています。かつて主流だったプログラム言語「COBOL(コボル)」で書かれたレガシーシステムを、サーバーレス環境で動かせるようにする移行サービスなどもあります。
また、クラウド関連分野でも、ハイブリッドクラウドやマルチクラウド、サーバーレス、コンテナ、マイクロサービス等、多様化・進化しています。さらには、IoTの普及とともにエッジコンピューティングも注目されるようになっています。

重要なのは、選ぼうとするその方法で「自社の基幹系システムが、本質的な意味で老朽化から脱することができるのか」を見極めることです。というのも、たとえ最新の技術を使った刷新手法でも、どの企業のケースに対しても万能というわけではないからです。高度な処理ロジックを実行するアドオンソフトを多数抱えていたり、業務プロセスが標準化されていない企業が多いとなれば、なおさらです。

「何のためのシステム刷新か」を会社全体に浸透させないまま、ただ単に「現システムをクラウドに移行してコスト削減を図りたい」「ハードウエアの保守切れが迫っているからとにかく刷新したい」といった考え方では、ヘタをすればまた近い将来、レガシーシステムを再生産することにに繋がりかねません。

経営者がその重要性を理解できなかったり、利用現場の抵抗にあったりと業務改革のハードルは高く、プロジェクトが頓挫したり、あまり意味のない刷新に終わることも少なくないのが実情です。
今求められる基幹系システム刷新は、DXや刷新の意味をよく把握した経営者のもと、方針や重要性を全部門で共有し、全社で取り組むべき一大プロジェクトであるといえます。

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