【2023年版】牛丼チェーンの店舗数ランキング

2023年10月23日 | 業界・地域分析

牛丼チェーン店

ここ1~2年の価格改定(値上げ)の話題が目立ったものの、売り上げは好調に推移している牛丼業界。昨今の店舗数はどのような動きをみせているのでしょうか。
今回は、当社のチェーン店データを元に、牛丼チェーンの1年間(2022年7月~2023年7月)の店舗数推移やチェーン別ランキング、前年同月比増減状況などを集計しました。また、どのチェーンがどの地域に多く展開しているか、都道府県別の分布状況も探ってみました。


データの集計方法について


  • 集計元のチェーン店データは、チェーン店の公開情報を当社が調査・収集したものです。すべてのチェーン店を網羅したものではありません。また、実態とは異なる場合がありますのでご了承ください。
  • 2023年7月時点で、国内に10店舗以上展開しているチェーン店を集計の対象にしています。
  • 当社のチェーン店データ調査・収集は毎月を基本としていますが、隔月など定期収集のチェーンもあります。表・グラフの対象月に収集がなかったチェーンの場合、当月時点で最新のデータを記載しています。
  • 店舗数の増減率(%)は、2023年7月と2022年7月の対比で算出しています(小数点3位以下は四捨五入)。

【月別推移】牛丼チェーン店舗数(全体、2022年7月~2023年7月)

↑0.58% 2年連続の前年比増となるも、増減の動きはごくわずか


全体(3チェーン計)の国内店舗数推移(2022年7月~2023年7月)をみると、増減の動きは少なく、前月に比べ最も増えた月が11店増、最も減った月でも4店減に止まっています。その結果 1年間で0.58%(計24店舗)の微増となりました。2022(※)・2023年と2年連続の前年比増となったものの、増加幅は縮まっています。


※2022年7月の前年同月比増減率は、1.06%増(43店舗増)。


牛丼 店舗数月推移

店舗数の増減率(前年同月比)

業種 2022年7月 2023年7月 増減率(%)
牛丼チェーン 4,117 4,141 +0.58

【2023年版】牛丼チェーン 店舗数ランキング

大手3チェーンの国内店舗数 なんとか増勢をキープ


チェーン別店舗数ランキングを7月の前年同月比でみると、ランキング1位の「すき家」が0.05%減(1店舗減)のほぼ横ばい、2位「吉野家」は微増(0.67%・8店舗増)、3位「松屋」が若干増(1.72%・17店舗増)となっています。
牛丼大手3社それぞれの国内店舗数は、2022年版と比較するとやや増加幅が縮まったものの「なんとか増勢をキープしている」といった状況です。


チェーン別店舗数ランキング(上位30チェーン)

順位 チェーン名 2022年7月 2023年7月 増減率(%)
1位 すき家 1,942 1,941 -0.05
2位 吉野家(※) 1,189 1,197 +0.67
3位 松屋 986 1,003 +1.72

※吉の字は、正しくは「土(つち)」に「口(くち)」と書きます。


◎参考情報:

3チェーンの2022年以前の店舗数 経年推移(2018~2022年、7月時点)が【2022年版】【年推移】チェーン別 店舗数 で確認できます。

ランキングは当社のチェーン店舗データをもとに作成しています


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【地域分布】各チェーンの都道府県別出店状況(2023年7月現在)

すき家 ~国内:人口が多い順に店舗数も多い傾向 海外:出店を超加速~

当社データから都道府県別の出店状況をみると、47都道府県すべてに店舗があり、東京都が245店と最も多く、2番目が神奈川県(164店)、3番目が大阪府(132店)。4番目以降は、愛知県(128店)、埼玉県(117店)、千葉県(103店)、兵庫県(72店)、静岡県(65店)と続いています。7番目の兵庫まで、すき家の出店数は人口が多い都府県順に並んでいます。
一方「すき家」が少ない地域としては、鳥取県が最も少なく(8店)、次いで島根・徳島・高知・佐賀が各10店となっています。すき家店舗数の下位6県と 人口数の下位6県は一致しており、人口規模とのリンク傾向がみられます。

運営会社は、ゼンショーホールディングス(HD)の完全子会社「株式会社すき家」。同HDの2023年3月期(2022年4月1日~2023年3月31日)決算短信(連結)によると、「牛丼カテゴリー(※)」の売上高は前年同期比 12.8%増と順調に増加。また、ホームページで開示している「すき家 月次売上推移」で既存店売上高の動きをみると、2021年3月以降 すべての月で前年同月を上回る状況が続いています。


※「すき家」のほか、「なか卯」の実績も含まれています。


ゼンショーHDでは、直近の2024年3月期 第1四半期から決算報告セグメントを変更しており、新しい区分では「グローバルすき家」として国内・海外合わせたすき家の業績が報告されています。これによると売上高は前年同期比24.5%増となり、営業利益は2,396.3%増と 激増しています。

「すき家」では2000年代後半頃から海外展開を進めており、近年出店ペースを速めています。2024年3月期 第1四半期末時点で、中国、タイ、マレーシア、ブラジル、メキシコ、台湾 などに計673店舗、海外比率が約25.7%と高まっています。
また、ゼンショーHDでは、2024年3月期末にグループの海外店舗数を1万店規模にする計画を発表しています。既存ブランドの新規出店を大幅に増やし、2023年9月に買収した英すしチェーンの店舗数も加えて、目標達成を見込んでいます。


吉野家 ~国内:人口が多い順に店舗数も多い傾向 海外:1,000店にあと少し~

「吉野家」も、47都道府県すべてに展開されています。最も多いのは、東京(194店)で、2番目が大阪(125店)、神奈川(87店)、愛知(86店)、埼玉(75店)、千葉(63店)、兵庫(56店)、と続いています。大阪と神奈川の順番が入れ替わっただけで、ほぼ人口が多い都府県順に並んでいます。
一方、少ない県は、鳥取・島根・高知(各3店)、徳島・山梨(各4店)、山形・佐賀・大分・宮崎・鹿児島(各5店)といったところ。やはり、人口が少なめの県は店舗も少なめの傾向にあります。

国内の牛丼チェーン運営会社は「株式会社吉野家」。2007年に持株会社体制となり「株式会社吉野家ホールディングス(HD)」が吉野家事業、はなまる(うどん)事業、海外事業などのグループ経営を手掛けています。
同HDの 2023年2月期(2022年3月~2023年2月)決算短信(連結)によると、吉野家の売上高(国内)が前年同期比 6.3%の増収であった一方、原材料の高騰や光熱費の上昇により、セグメント利益は14.6%減となりました。しかし、その後の2024年2月期 第2四半期(2023年3月1日~8月31日)は、売上高が前年同期比10.6%増、セグメント利益も36.2%増と大きく増加しています。

「吉野家」の海外展開は、アメリカ、中国、台湾、香港、インドネシア、タイなどに、計994店(2023年9月現在)。「吉野家」店舗数全体に占める海外店の割合は約45%にのぼります。2024年2月期 第2四半期の海外事業売上高は 前年同期比10.4%の増収、セグメント利益も125.4%の大幅増となっています(※)。


※海外は暦年決算のため、1~6月の実績を取り込んでいます。


松屋 ~国内:東京が全体の約32%を占める 海外:台湾で7店舗~

当社のデータから都道府県別の出店状況をみると、東京都が322店と断トツに多く、2番目の神奈川県は105店、3番目以降に大阪(100店)、埼玉(90店)、千葉(59店)、愛知(36店)、兵庫(36店)と続いています。ほかの大手2チェーンに比べ、東京都への集中度が高い(全体の約32%)点が特徴です。
42都道府県で展開しており、宮崎・熊本・青森は各1店、鹿児島・秋田は各2店の出店に止まっています。また、鳥取・島根・高知・佐賀・長崎県には未出店です。

運営会社は「株式会社 松屋フーズ」で、松屋フーズホールディングス(HD)がグループの経営管理をおこなっています。同チェーンでは「牛丼」ではなく「牛めし」の呼び名で統一しています。
同HDの 令和5年3月期(令和4年4月1日~令和5年3月31日)決算短信(連結)によると、売上高は前年同期比で12.8%増となり、直近の四半期報告(令和5年4月1日~6月30日)でも、前年同期比12.6%増と高い増加率を維持しています。

松屋フーズの海外展開は、2009年に中国上海市に直営1号店をオープンし、2018年には台湾の台北にも出店。上海で「松のや」7店舗と、台湾で「松屋」7店舗を展開しています(2023年10月、同社よりホームページより確認)。

【まとめ】新規出店は もっぱら海外?

牛丼チェーンの国内店舗数は、3チェーン計(※)で4,141店(2023年7月)。「松屋」が今回1,000店を超えたことにより、3大チェーンに集約される牛丼業界の特徴が より鮮明になったといえます。
当社データによると、飲食関連ジャンルすべてで店舗数 1,000店超は 14チェーンのみ。その中に牛丼が3社とも入っているのですから、飲食業界の中でもいかに特異な存在であるかがわかります。

※前回・2022年版では牛丼チェーンランキングに「なか卯」を入れて集計しましたが、今回の集計時(2023年10月現在)同チェーンのメニューに「牛丼」がありませんでしたので、対象から外しました。


ここ数年(2021~2023年)3チェーンの売上高は、程度の違いはあるものの 揃って増加傾向にあり、特にコロナ禍から本格的に人流が回復した今年(2023年)の春以降は、前年同月比で2ケタ台の増加率(110%~120%台)の月が続いています。
3チェーンそれぞれに公開されている「月次推移(既存店売上高)」で もう少し細かくみていくと、「すき家」が一足先に前年同月比で増加に転じ(2021年3月~)、「吉野家」「松屋」も 2021年後半から2022年初めごろには回復基調に入っていました。

一方、2023年の国内店舗数は、こうした業績の回復・好調と逆行するように、2022年の増加率(1.06%増)を下回り、横ばいに近づいています。牛丼に限らず、大手飲食チェーンの間では昨今 国内の店舗を大きく増やす動きは見られず、海外での店舗拡大に積極的な姿勢が目立っています。国内は 店舗網の最適化や新業態の開発、サービスやメニューの質向上、付加価値の創造などに注力し、新規出店先を主に海外に求めているようです。

このまま売り上げが好調に推移して 収益が改善されていったとしても、国内店舗数は横ばい基調が続いていくのか、それともまた増加基調に転じるのか。高度に寡占化した牛丼業界の、今後の動向が気になるところです。


本記事は当社のチェーン店舗データをもとに作成しています


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