【2023年版】ハンバーガーチェーンの店舗数ランキング

2023年5月29日 | 業界・地域分析

ハーンバーガーチェーン店

テイクアウトやデリバリーへの対応力が功を奏し、コロナ禍が追い風となったハンバーガー業界。消費行動がコロナ以前に戻りつつある中、店舗数はどのような動きをみせているのでしょうか。
今回は、当社のチェーン店データを元に、ハンバーガーチェーンの1年間(2022年4月~2023年4月)の店舗数推移やチェーン別ランキング(2023年4月時点)、前年同月比増減状況などを集計しました。また、どのチェーンがどの地域に多く出店しているか、都道府県別の分布状況も探ってみました。


データの集計方法について


  • 集計元のチェーン店データは、チェーン店の公開情報を当社が調査・収集したものです。すべてのチェーン店を網羅したものではありません。また、実態とは異なる場合がありますのでご了承ください。
  • 2023年4月時点で、国内に10店舗以上展開しているチェーン店を集計の対象にしています。
  • 当社のチェーン店データ調査・収集は毎月を基本としていますが、隔月など定期収集のチェーンもあります。表・グラフの対象月に収集がなかったチェーンの場合、当月時点で最新のデータを記載しています。
  • 店舗数の増減率(%)は、2023年4月と2022年4月の対比で算出しています(小数点2位以下は四捨五入)。

【月別推移】ハンバーガーチェーン店舗数
(チェーン全体、2022年4月~2023年4月)

↑1.5% 大きな変化はないものの、引き続き増加基調で推移


ハンバーガーチェーン全体の店舗数推移(2022年4月~2023年4月)をみると、前月を上回った月が8か月と増加基調で推移しています。前月から減少した月も、1~3店舗程度のわずかな減少数にとどまっています。
2023年4月と前年4月を比較した前年同月比では、1.5%の若干増。この1年、外食業界では「消費者の店頭回帰」や「デリバリー需要の反動減」といったコロナ禍からの環境変化があったものの、ハンバーガーショップの店舗数は2022年版と同水準の伸び率をキープしています。


ハンバーガー店舗数 月推移

店舗数の増減率(前年同月比)

業種 2022年4月 2023年4月 増減率(%)
ハンバーガーチェーン 6,390 6,485 +1.5

【2023年版】ハンバーガーチェーン 店舗数ランキング

増加・減少チェーンの顔ぶれ変わらず 「バーガーキング」の攻勢つづく


チェーン別(※)店舗数ランキングを4月の前年同月比でみると、「マクドナルド(0.5%増)」「モスバーガー(2.6%増)」「ケンタッキーフライドチキン(2.6%増)」の上位3チェーンは、小幅ながら揃って増加しています。
飛び抜けた増加率をみせたのはランキング5位の「バーガーキング(20.8%増)」。2022年版の27.3%増には若干及ばなかったものの、まだまだ出店攻勢は続いています。 そのほかハワイ発祥の「クアアイナ」が6.1%増と健闘していますが、増加チェーンの数は15チェーン中5チェーンと、全体の3/1に止まっています。

一方、減少チェーンは、ランキング4位の「ロッテリア(0.6%減)」をはじめ、「サブウェイ(0.6%減)」「フレッシュネスバーガー(4.7%減)」「ファーストキッチン(3.4%減)」など計6チェーン。プラスマイナスゼロの現状維持が4チェーンとなっています。

増加・減少チェーンとも前回版(2022年版)と似たような動向を示していますが、「ロッテリア」「サブウェイ」の減少幅は今回だいぶ縮まり、数にすると1~2店程度のわずかな減少となっています。


※当社の集計では「ケンタッキーフライドチキン」「サブウェイ」も、「ハンバーガー」のカテゴリーに分類しています。

チェーン別店舗数ランキング(10店舗以上を展開する 計15チェーン)

順位 チェーン名 2022年4月 2023年4月 増減率(%)
1位 マクドナルド 2,937 2,951 +0.5
2位 モスバーガー 1,249 1,281 +2.6
3位 ケンタッキーフライドチキン 1,164 1,194 +2.6
4位 ロッテリア 310 308 -0.6
5位 バーガーキング 154 186 +20.8
6位 サブウェイ 168 167 -0.6
7位 フレッシュネスバーガー 171 163 -4.7
8位 ファーストキッチン 59 57 -3.4
9位 ウェンディーズファーストキッチン 53 53 0
10位 クアアイナ 33 35 +6.1
11位 ドムドムハンバーガー 27 27 0
12位 A&W 24 23 -4.2
13位 ラッキーピエロ 17 17 0
14位 TGIフライデーズ 13 12 -7.7
15位 VILLAGE VANGUARD DINER 11 11 0

◎参考情報:

上位チェーンの2022年以前の店舗数 経年推移(2018~2022年、4月時点)が【2022年版】で確認できます。

ランキングは当社のチェーン店舗データをもとに作成しています


日本ソフト販売が提供する、全国のチェーン店舗データ(飲食店・コンビニ・ドラッグストアなど)についての詳しいサービス情報は、こちらからご覧いただけます。


【地域分布】各チェーンの都道府県別出店状況
(上位10チェーン、2023年4月時点)

マクドナルド ~人口が多いところはマクドナルドも多い~

当社データから都道府県別の出店状況をみると、東京都が352店と最も多く、大阪(250店)、神奈川(234店)、愛知(200店)、埼玉(186店)、千葉(157店)、兵庫(141店)と続きます。47都道府県に店舗があるものの、人口が多い大都市圏や関東県の比重が特に高くなっています。一方、店舗が少ないのは島根県(8店)や鳥取県(10店)、高知県(12店)など、やはり人口が少ない県が目立ちます。
このように、基本的には人口規模に合わせて万遍なく展開していますが、人口1万人当たりの店舗数を算出してみると、京都府(0.31店)や香川・沖縄県(0.29店)が比較的多い地域となっています。

同チェーンの運営会社は「日本マクドナルド株式会社(東京都新宿区)」。「日本マクドナルドホールディングス株式会社」がグループ経営の立案と実行を担っています。2023年は日本上陸52年目となります。


モスバーガー ~最多は東京都、最少は香川県~

都道府県別の出店状況をみると、すべての都道府県で展開しており、東京都が185店と最多。2番目の神奈川は東京の半分以下の85店で、愛知(81店)、大阪(80店)、福岡(75店)と同水準で続いています。モスバーガーが少ない県は、香川(5店)、福井・高知(各6店)、鳥取(7店)などです。
人口1万人当たりの店舗数では、山梨(0.16店)、福岡(0.15店)、大分・沖縄(0.14店)が若干多い計算になります。

運営会社は「株式会社モスフードサービス(東京都品川区)」。日本発祥のバーガーチェーンで、2023年は創業から51年目を数えます。


ケンタッキーフライドチキン ~東京・神奈川への集中度高め~

都道府県別出店状況をみると、東京都(144店)と神奈川県(110店)が特に多く、3番目は大阪府(79店)、以降、埼玉(73店)、千葉県(68店)、北海道(64店)の順で続きます。逆に少ないのは、高知(3店)、徳島(4店)など。
ケンタッキーフライドチキンもすべての都道府県に店舗があり、人口1万人当たりの店舗数では、沖縄(0.16店)や京都・群馬(0.13店)が比較的多い地域です。

運営会社は「日本ケンタッキー・フライド・チキン株式会社(横浜市)」。「日本KFCホールディングス株式会社」がグループを統括しています。2023年は日本上陸53年目を迎えています。


ロッテリア ~広域に展開するも、1~3店の県が半数超~

当社の都道府県別店舗数集計によると、東京都(33店)、大阪府(32店)、埼玉県(27店)、北海道(26店)の順で多く分布しています。全国42都道府県に展開していますが、1~3店の県が22県と半数超を占めています。

運営会社は「株式会社ロッテリア(東京都港区)」。2023年2月「ゼンショーホールディングス」が「ロッテホールディングス」から同社の全株式を取得し、ゼンショーグループの傘下に入りました。日本発祥のチェーンで、2023年は創業51年目にあたります。


バーガーキング ~6割以上の店舗が首都圏に集中~

都道府県別の出店状況をみると、28都道府県に進出しており、東京(56店)、埼玉(24店)、神奈川(19店)、千葉(17店)、大阪(15店)の順となっています。東京だけで全体の約30%、東京・埼玉・神奈川・千葉の首都圏に約63%の店舗が集まっています。
このため過半数の県は1、2店舗の出店に止まっており、未進出の地域が東北や九州地方に多くみられます。

運営会社は「株式会社ビーケージャパンホールディングス(東京都千代田区)」。2023年4月の店舗数ランキングでは186店ですが、その後5~6月に4店舗の新規出店計画を発表しています。全体に増加率が低い中で、高速出店を進める唯一のバーガーチェーンとなっています。


サブウェイ ~全体の約3分の1は東京都~

全国34県・167店展開のうち、約32%にあたる54店が東京都に集中。次いで神奈川(14店)、愛知(12店)、千葉・大阪が各11店と続いています。1店舗のみの出店が、東北地方や西日本中心に14県あります。また、比較的広域に展開しているわりには、京都や新潟といった人口200万人超の府県に店舗がない点が目に付きます。

運営会社は「日本サブウェイ合同会社(東京都品川区)」。アメリカ発のサンドイッチチェーンで、日本に上陸したのは1992年です。


フレッシュネスバーガー ~全体の40%超は東京に立地~

当社データから都道府県別の出店状況をみると、東京の店舗数(67店)が全体の41%を占め、神奈川(21店)・千葉(11店)を合わせると、約60%が首都圏に集中しています。
未進出の地域は、東北・北陸・中国・四国の県が比較的多くなっています。

運営会社は「株式会社フレッシュネス(横浜市)」。1992年、東京都渋谷区富ヶ谷に1号店がオープンしました。2016年、「牛角」や「大戸屋」など様々なジャンルの飲食店を展開するコロワイドグループ傘下に入っています。


ファーストキッチン ~神奈川&東京が主なエリア~

ファーストキッチンが出店しているのは計10都道府県で、神奈川県(17店)が最も多く、東京都が2番目(12店)となっています。愛知が7店、埼玉・千葉が6店ずつで続いています。大都市圏以外では、岐阜と滋賀に1店ずつと少ないながら店舗があります。

運営会社は、1977年設立の「ファーストキッチン株式会社(東京都新宿区)」。
2016年に米国発のハンバーガーレストランチェーン「ウェンディーズ・ジャパン」に譲渡されたあと、ファーストキッチンとウェンディーズとのコラボ店舗「ウェンディーズ・ファーストキッチン(ランキング8位)」への転換が進んでいました。ただ、2023年4月の店舗数と前年同月を比較すると2店舗の減少に止まっており、コラボ店への転換が一段落したことを窺わせます。


ウェンディーズファーストキッチン ~コラボ店舗として2016年以降に展開~

当社のデータによると、同チェーンの出店地域は計11都道府県。東京都が23店と最多で、神奈川県(11店)が2番目と、上記ファーストキッチンと逆ですが、両都県への集中度が高い点では共通しています。
また、ウェンディーズファーストキッチンは、京都・兵庫・群馬・富山・静岡・和歌山とファーストキッチン単独の店舗がない府県での展開がみられ、両ブランドのバランスを踏まえた計画的な出店(転換)の状況が窺えます。

運営会社は「ウェンディーズ・ジャパン株式会社(東京都新宿区)」。「ウェンディーズ」ブランドの日本上陸は1980年です。
2002年には当時の運営会社がゼンショーに売却されたものの、2009年にゼンショーがハンバーガー事業から撤退。2011年に日本企業と米国ウェンディーズとの合弁会社「ウェンディーズ・ジャパン合同会社(後に株式会社に変更)」が設立され、日本再上陸を果たしました。2016年、同社は「ファーストキッチン(ランキング7位)」を買収し、以来ファーストキッチンとのコラボ店舗「ウェンディーズファーストキッチン」として展開を進めてきました。


クアアイナ ~全国12都府県で35店を展開~

クアアイナが出店しているのは12都府県で、東京都が10店と最も多く、次いで神奈川県が6店、埼玉・大阪が各4店の順。このほか複数の店舗があるのは千葉(3店)、兵庫(2店)で、1店のみの展開が宮城・栃木・長野・三重・滋賀・福岡、となっています。

運営会社は、「ピザーラ」など多くの飲食チェーンを展開する「株式会社フォーシーズ(東京都港区)」。クアアイナは1975年にハワイで誕生し、1997年に日本第1号店(東京・青山)がオープンしました。


【まとめ】売り上げ・店舗数ともに安定の大手に対し、中堅チェーンは?

大手3社の決算はそろって「増収減益」


業績を公表している大手3社の決算資料をみると、まず「日本マクドナルドホールディングス」の2022年12月期決算短信(連結)では、売上高が10.9%と2ケタ増加した一方、営業利益は2.1%減、経常利益2.4%減、純利益では16.7%減といずれも減少しています。2023年12月期第1四半期(2023年1月1日~3月31日)も売上高は9.2%増ながら、利益は減少しています。
また「モスフードサービス」の2023年3月期(連結)では、売上高が8.4%増加しているにもかかわらず、営業利益が98.8%減、経常利益90.2%減の大幅減。
「日本KFCホールディングス」の2023年3月期(連結)も、売上高が2.5%増に対し、営業利益は40.7%減、経常利益37.4%減、純利益45.4%減となっています。

とはいえ、減収の主な原因は急速な円安や原材料・エネルギー価格、物流費の高騰といった多くの産業に共通する問題です。「揃って売り上げを伸ばしているだけハンバーガー業界は順調」ともいえます。店舗数でみても、ほかの外食産業では大手の頭打ち感が目立ってきていますが、ハンバーガー3社は2022年版に引き続き堅実に店舗数を増やしています。


中堅チェーンに新たな局面も・・・


今回の2023年店舗数ランキングが2022年版までの状況と異なる点としては、近年店舗数の減少が目立っていた「ロッテリア」と「サブウェイ」がほぼ横ばい程度の減少となり、下げ止まり感が見えたことが挙げられます。

「ロッテリア」は、2023年2月に「ゼンショーホールディングス」に売却され、同グループ傘下に入ったことが大きな話題となりましたが、大手の1角というには劣勢が否めなかった近年の実情が買収の背景にあります。ゼンショーのもとでどう展開されるのか、反転攻勢への期待が高まります。

一方「サブウェイ」も、近年日本では苦戦を強いられ店舗数が大幅に減少していました。ところが2018年頃から力を入れていたSNSマーケティングが成功し、複数メディアのインタビュー等によると2021年度(2019年12月期対比)と2022年度(前年対比)は2ケタ成長、とのこと。こちらもまた、今後の動向が気になるところです。


本記事は当社のチェーン店舗データをもとに作成しています


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