【2024年版】宅配ピザチェーンの店舗数ランキング

2024年3月25日 | 業界・地域分析

宅配ピザチェーン店

コロナ禍ではデリバリー体制の強みを発揮した宅配ピザ業界。アフターコロナの この1年、店舗数の動きはどうなっているのでしょうか。
2024年版(2023年1月~2024年1月)では、当社のチェーン店データを元に、宅配ピザ店舗数の月別推移やチェーン別店舗数ランキング、前年同月比増減状況など、前回・2023年版との比較も交えて振り返ります。また、2019~2024年における 宅配ピザ 3大チェーンの店舗数シェアの推移も探ってみました。


データの集計方法について


  • 集計元のチェーン店データは、チェーン店の公開情報を当社が調査・収集したものです。すべてのチェーン店を網羅したものではありません。また、実態とは異なる場合がありますのでご了承ください。
  • 2024年1月時点で、国内に10店舗以上展開しているチェーン店を集計の対象にしています。
  • 当社のチェーン店データ調査・収集は毎月を基本としていますが、隔月など定期収集のチェーンもあります。表・グラフの対象月に収集がなかったチェーンの場合、当月時点で最新のデータを記載しています。
  • 店舗数の増減率(%)は、2024年1月と2023年1月の対比で算出しています(小数点2位以下は四捨五入)。

【月別推移】宅配ピザチェーン店舗数(全体、2023年1月~2024年1月)

↑4.2% 勢いは鈍ったものの 4年連続で前年比が増加

宅配ピザチェーン全体の1年間(2023年1月~2024年1月)の店舗数推移をみると、前月に比べて店舗数が減ったのは2023年6月、7月、2024年1月で、そのほかの月は4~32店舗増の水準で前月を上回って推移しています。その結果、1月の前年同月比では、4.2%の増加となりました。
当社の集計を遡ると、2021年1月の前年同月比 2.9%増から 2022年1月に10.4%増と急伸、2023年1月には 5.4%増と落ち着きをみせ、そして今回・2024年1月が 4.2%増。2022年の増加幅が突出した形にはなっているものの、この間 ずっと増加基調をキープしています。


宅配ピザ 店舗数 月別推移

店舗数の前年同月比増減率

業種 2023年1月 2024年1月 増減率(%)
宅配ピザチェーン 2,484 2,588 +4.2

【2024年版】宅配ピザチェーン 店舗数ランキング

わずか 4チェーンの増加分により、業界全体の増加基調を維持


チェーン別店舗数ランキングを1月の前年同月比でみると、10店舗以上を展開する13チェーンのうち 増加したのは 4チェーンに止まり、プラスマイナスゼロが1チェーン、減少が8チェーン。実質 上位 4チェーンの増加分により、宅配ピザチェーン全体の増加基調を維持している形になっています。

最も高い増加率を示しているのは「ピザハット(16.2%増)」で、「ナポリの窯(15.6%増)」「ドミノピザ(7.9%増)」の順に続いています。
この 3チェーンとも「4年連続の増加」という点では共通していますが、「ピザハット」は2021~2024年にかけて 年々増加幅が拡大、「ナポリの窯」は2023・2024年の増加率が高まっています。ランキング 1位の「ドミノピザ」は、2022年の増加率が26.4%と突出しており、2021・2023・2024年も7~9%増の高い水準で推移しています。

一方、減少チェーンでは「シカゴピザ(66.7%減)」「ピザダーノ(41.2%減)」「ストロベリーコーンズ(19.6%減)」「リトパ(19.2%減)」と、店舗数ランキング 9~13位の小規模チェーンで 大幅な減少率が目立っています。
このうち「シカゴピザ」については、昨年(2023年)3月に事業を停止して 自己破産を申請、「ナポリの窯」などを展開する「株式会社ストロベリーコーンズ(仙台市)」が 一部の事業を譲り受けることになり、6月から同社による営業がスタート・・・という経緯がありました。事業譲受後も「シカゴピザ」のブランドは維持されたため、同ブランドの 1月の前年同月比は 上記のような大幅減となった、というわけです。

また、今回「ピザーラ」と「ピザハット」の順位が入れ替わり、「ピザハット」が店舗数 2位に浮上したことも注目に値する出来事です。「ピザハット」が近年 店舗の拡大戦略をとる一方で「ピザーラ」は おおむね現状維持で推移してきたことから、2023年中に転換点が訪れました。


チェーン別 店舗数ランキング

順位 チェーン名 2023年1月 2024年1月 増減率(%)
1位 ドミノ・ピザ 953 1,028 +7.9
2位 ピザハット 506 588 +16.2
3位 ピザーラ 537 533 -0.7
4位 ナポリの窯 90 104 +15.6
5位 ピザポケット 60 62 +3.3
6位 ピザ・カリフォルニア 58 53 -8.6
6位 ロイヤルハット 57 53 -7.0
8位 アオキーズ・ピザ 51 50 -2.0
9位 ストロベリーコーンズ 46 37 -19.6
10位 ピザクック 32 32 0
11位 リトパ 26 21 -19.2
12位 シカゴピザ 51 17 -66.7
14位 ピザダーノ 17 10 -41.2

◎参考情報:

上位チェーンの2023年以前の店舗数 経年推移(2019~2023年、1月時点)が【2023年版】【年推移】チェーン別 店舗数 で確認できます。

ランキングは当社のチェーン店舗データをもとに作成しています


日本ソフト販売が提供する、全国のチェーン店舗データ(飲食店・コンビニ・ドラッグストアなど)についての詳しいサービス情報は、こちらからご覧いただけます。


【大手シェア推移】3大チェーン 店舗数シェアの推移(2019年~2024年 1月時点)

3大チェーンの店舗数シェアは83% 5年間で8.1%の伸び


宅配ピザは、上位3チェーン(ドミノピザ、ピザハット、ピザーラ)と 4位以降の店舗数規模に大きな開きがあり、牛丼コンビニエンスストアほどではないものの、寡占度の高い市場であるといえます。

宅配ピザ店舗数全体に占める 3大チェーンの割合の推移(当社調べ)をみると、2019年1月時点は74.9%だった店舗数シェア(※)が、2021年にやや下がったものの その後上昇し、2024年は 83.0%に達しています。

特に2023 → 2024年は、1年で 3.2%と大きく上昇。これは、大手チェーンが大幅増の一方で中小の減少が目立ったことに加え、経営破綻を経た「シカゴピザ」の店舗数減少が反映された結果とみられます。
また、2019年1月と2024年1月とを比べると、5年間で大手のシェアが 8.1%上昇しており、3大チェーンへの寡占化が近年加速している状況が窺えます。


※10店舗以上を展開するチェーン全体に占める、3ブランド(ドミノピザ、ピザハット、ピザーラ)合計店舗数の割合。


ピザ3大チェーン シェア推移

【まとめ】 商品力・ブランド力、人件費高騰や配送効率化への対応力、が カギ

コロナ禍でのデリバリー・テイクアウト需要の盛り上がりで好調が伝えられていた宅配ピザ業界ですが、2023年は「シカゴピザ」の経営破綻や、民間信用調査機関による「宅配ピザ店の倒産増」の調査発表など、雲行きの変化を感じさせる話題が目立ってきました。

当社の店舗数集計では、前年比4.2%増と、勢いがやや鈍りつつもまだ他の飲食業種に比べれば堅調な増加率を維持しています。とはいえ、大手でも決算短信等の業績が公表されていない業界のため、アフターコロナに入った ここ1~2年の売上高や収益の推移など、具体的な変化の状況は よくわからない のが実情です。

ただ、外食産業全体に言えることですが、このところ食材費等のコストが増大し、収益を圧迫しています。特に 宅配ピザは 配送がビジネスモデルの要であるだけに、スタッフの人手不足や人件費・燃料費高騰に対応しつつ、いかに配送効率を高めるか、が 重要な経営課題となっています。「シカゴピザ」が経営破綻に至った主な原因もこの「人件費高騰」である とみられています。

実際、宅配ピザチェーンの間では、ここ2~3年 値上げはもとより、店頭への来店を促すキャンペーンやサービス料の導入(のちに撤廃)、配送料の徴収、イートインの強化 など、収益低下への対応と考えられる 様々な施策を打ち出す動きが目立っています。店舗数を伸ばす好調業種といったイメージの裏で、規模の大小を問わず 地道な模索を続けているようにみえます。
コスト上昇分をしっかり価格転嫁できる商品力やブランド力に加え、人件費高騰や配送効率化への対応力が、今後それぞれのチェーンの成長 または 生き残りのための カギとなりそうです。


本記事は当社のチェーン店舗データをもとに作成しています


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