【2022年版】焼肉チェーンの店舗数ランキング

2022年10月31日 | 業界・地域分析

焼肉チェーン店

もともと換気設備が充実していることなどから「コロナ禍でも比較的好調」とみられてきた焼肉チェーン。店舗数はどのような動きをみせているのでしょうか。
今回は、当社のチェーン店データを元に、焼肉チェーンの2021年7月~2022年7月の店舗数推移やチェーン別ランキング、前年同月比増減状況などを集計しました。また、2018~2022年の店舗数年推移をチェーン別に比較することにより、ここ4年間の業界動向を探ってみます。


データの集計方法について


  • 集計元のチェーン店データは、チェーン店の公開情報を当社が調査・収集したものです。すべてのチェーン店を網羅したものではありません。また、実態とは異なる場合がありますのでご了承ください。
  • 2022年7月時点で、国内に10店舗以上展開しているチェーン店を集計の対象にしています。
  • 当社のチェーン店データ調査・収集は毎月を基本としていますが、隔月など定期収集のチェーンもあります。表・グラフの対象月に収集がなかったチェーンの場合、当月時点で最新のデータを記載しています。
  • 店舗数の増減率(%)は、2022年7月と2021年7月の対比で算出しています(小数点第3位以下は四捨五入)。

【月別推移】焼肉チェーン 店舗数(全体、2021年7月~2022年7月)

↑3.48% 前月の店舗数を下回ることなく、年間で計100店舗増加


焼肉チェーン全体の店舗数推移(2021年7月~2022年7月)をみると、プラスマイナスゼロがふた月あったものの、それ以外は前月を上回って推移しています。2022年7月と前年7月を比較した前年同月比では、店舗数でちょうど100店舗の3.48%増となりました。


焼肉チェーン 店舗数推移

店舗数の前年同月比増減率

業種 2021年7月 2022年7月 増減率(%)
焼肉チェーン 2,876 2,976 +3.48

【2022年版】焼肉チェーン 店舗数ランキング(上位30)

前年同月比63.64%増、57.14%増と急拡大のチェーンも


チェーン別店舗数ランキングを7月の前年同月比でみると、ランキング1位の「牛角」は2.49%と減少したものの、2位の「焼肉きんぐ(6.32%増)」と3位「七輪焼肉安安(3.95%)」は、順調に店舗数を伸ばしています。とはいえ、「牛角」の店舗数は「焼肉きんぐ」の2倍超と、依然としてこの業界で突出している状況に変わりはありません。

ランキングトップ10で、最も高い増加率をみせているのは『0秒レモンサワー』の「ときわ亭」で、年間35店舗、増加率にして63.64%と急速に増えています。また、『ひとり焼肉』の「焼肉ライク」も27.69%増と高い伸びを示しています。

11~30位内で最も高い伸びを示したのは13位「熟成焼肉いちばん」で、1年間で24店舗、57.14%増と急拡大しています。同チェーンはゼンショーホールディングスグループの株式会社TAG-1が運営しており、新規だけでなく同グループ他ブランド(ランキング24位「宝島」等)の業態変更による出店も活発におこなわれています。
また、11位「大阪焼肉・ホルモン ふたご(13.43%増)」、12位「カルビ丼とスン豆腐専門店 韓丼(11.29%増)」も、2ケタ台の好調な伸びをみせています。


チェーン別 店舗数ランキング

順位 チェーン名 2021年7月 2022年7月 増減率(%)
1位 牛角 602 587 -2.49
2位 焼肉きんぐ 269 286 +6.32
3位 七輪焼肉安安 177 184 +3.95
4位 安楽亭 166 166 0
5位 牛繁 160 157 -1.88
6位 あみやき亭 111 108 -2.70
7位 ときわ亭 55 90 +63.64
8位 ワンカルビ 88 89 +1.14
9位 焼肉ライク 65 83 +27.69
10位 情熱ホルモン 77 78 +1.30
11位 大阪焼肉・ホルモン ふたご 67 76 +13.43
12位 カルビ丼とスン豆腐専門店 韓丼 62 69 +11.29
13位 焼肉トラジ 71 66 -7.04
13位 熟成焼肉いちばん 42 66 +57.14
15位 叙々苑 55 58 +5.45
16位 焼肉なべしま 55 54 -1.82
17位 肉匠坂井 46 50 +8.70
18位 じゅうじゅうカルビ 43 42 -2.33
18位 カルビ大将 43 42 -2.33
20位 やまなか家 39 40 +2.56
21位 焼肉五苑 40 37 -7.50
21位 炭火焼肉屋さかい 37 37 0
23位 カルビ屋 大福 31 31 0
24位 宝島 34 30 -11.76
25位 焼肉の牛太 31 29 -6.45
26位 炭火焼き肉七輪房 29 28 -3.45
27位 しちりん 28 27 -3.57
28位 くいどん 25 26 +4.00
28位 焼肉の和民 26 26 0
30位 味ん味ん 22 24(※) +9.09

※「焼肉スエヒロ館」も24店舗で、同じく30位となります。


ランキングは当社のチェーン店舗データをもとに作成しています


日本ソフト販売が提供する、全国のチェーン店舗データ(飲食店・コンビニ・ドラッグストアなど)についての詳しいサービス情報は、こちらからご覧いただけます。


【年推移】チェーン別 店舗数(2018~2022年7月時点)

 牛角 ~4年間で5.9%減少 店舗数500店台へ~

ここ4年の推移をみると、2020年から10、13、15店舗と3年連続で減少し、4年前の2018年7月と比較すると減少率5.9%。1年前まで維持していた600店台をついに割り込むこととなりました。

「牛角」の運営会社は、コロワイドグループの「株式会社レインズインターナショナル」。1996年に1号店が創業しています。
コロワイドの2023年3月期第1四半期(2022年4月1日~6月30日)報告書によると、レインズインターナショナルの売上収益は199億5,800万円で、前年同期(118億100万円)を大きく上回っています。一方、事業利益と営業利益は前年同期に比べ減少しています。(※)


※「牛角」のほか、「温野菜」「土間土間」「かまどか」など多数のブランドを含めた業績結果です。


牛角店舗数  年推移

 焼肉きんぐ ~4年前と比べ38.8%と大幅増~

17、18、28、17店と毎年増え続けた結果、2018年に比べ38.8%と大きく増加しました。

同チェーンの運営会社は「株式会社物語コーポレーション」で、「焼肉きんぐ」は2007年に焼肉の新業態としてスタートしました。
同社の月次売上高前期比推移(当社国内直営店+FC店)によると、焼肉部門の売上高は2021年7~12月期こそ98.6%と前年を若干割り込んだものの、2022年1~6月期は120.5%と回復し、さらに7月が118.9%、8月・128.7%、9月は138.3%と力強い増加傾向を持続しています。
また、店舗ホームページの「お知らせ」をみると、7月以降すでに6店舗がオープンしており(2022年10月25日現在)、高い出店ペースを維持していることが確認できます。


焼肉きんぐ店舗数 年推移

 七輪焼肉安安 ~4年間で52%の高い増加率~

35、15、6、7店と前年を上回って推移しています。特に2019年の大幅増(35店)により、4年間を通して約52%の高い伸び率となっています。2021・2022年はやや出店ペースが落ち着いています。

運営会社は「株式会社富士達」で、2000年に「七輪焼肉安安」の1号店がオープンしました。同社ホームページによると、2017年7月期に約87億円だった売上高が、2018年7月期に約97億円、2019年7月期は約103億円と順調な伸びをみせていましたが、コロナ禍以降の数字は公開情報がないためわかりません。


安安店舗数 年推移

 安楽亭 ~2018年と比べ11.7%減~

2019年から6、8、8店と少しずつ減少し、2022年はプラスマイナスゼロの横ばいとなっています。この結果、2018年と比べ11.7%減となりました。

「安楽亭」の運営会社は「株式会社安楽亭」で、ランキング26位の「炭火焼き肉七輪房」も同社が展開しています。1963年に創立、1978年株式会社化の老舗焼肉チェーンです。
2023年3月期第1四半期(2022年4月1日~6月30日)決算短信(連結)の説明資料によると、「安楽亭業態」の売上高は前年同期比で30.1%増加し、1,200万円の営業利益を計上するなど(前年同期は損失)、確かな回復傾向をみせています。


安楽亭店舗数 年推移

 牛繁 ~2022年は足踏みも、増加基調で推移~

10、6、12店と2021年までは前年を上回る推移をみせていましたが、2022年は3店舗の減少に転じています。結果、2018年比では18.9%の増加となりました。

同チェーンは「株式会社牛繁ドリームシステム」の運営で、昭和63年(1988年)に創業し、フランチャイズ1号店は平成12年(2000年)にオープンしました。近年は国内だけでなく、ベトナムや中国、米国と、FC事業のグローバル展開に乗り出しています。


牛繁店舗数 年推移

 あみやき亭 ~4年前に比べ0.9%の微減~

2019年は前年に比べ増加したものの、以降は少しずつ減少しています。このため4年前に比べると、0.9%の微減となりました。

運営会社は「株式会社あみやき亭」で、肉料理を計6ブランド展開しています。主力である「あみやき亭」の1号店は平成7年(1995年)に出店しました。
同社の2023年3月期第2四半期(2022年4月1日~2022年9月30日)決算短信(連結)によると、「焼肉事業(※)」の売上高は103億3,400万円で、前年同期比39.4%の増加率となっています。また「月次売上前年比較推移表」をみても、焼肉部門の既存店売上高(上期:4~9月)は140.4%と前年を大きく上回っています。ここ数年は基本的に前年を下回る推移だったため、確実な回復の足取りがみられます。


※「あみやき亭」のほか、「スエヒロ館」「どんどん」「ほるたん屋」など多数のブランドを含めた業績結果です。


あみやき亭店舗数 年推移

 ときわ亭 ~4年前に比べ130.8%増と躍進~

2019・2020年は前年の店舗数からやや減少したものの、2021年に21店、2022年は35店と大きく増加しています。ここ2年の急増により、4年前に比べ130.8%の大幅増となりました。

同チェーンの運営会社は「株式会社常盤食品」で、宮城県仙台市を本拠とし、2005年に1号店を開業しました。2021、2022年の店舗急増は、エリアフランチャイズ契約をした「GOSSO株式会社(東京都)」との提携により、2019年12月以降首都圏中心に高速出店を展開したことによるものです。「0秒レモンサワー(卓上のタワーからレモンサワーを60分・550円で飲み放題)」の導入が学生などの若者中心に話題を呼びました。
「GOSSO」運営店は77店舗(2022年10月25日現在)で、7~10月末をみても計9店が開店または開店予定となっており、高い出店スピードを持続しているようです。


ときわ亭店舗数 年推移

 ワンカルビ ~前年を下回ることなく、4年前比17%増~

4、8、0、1店と、直近2年は横ばい状態ながら、前年を下回ることなく推移しています。この結果、4年前との比較では、17.1%増と順調な伸びをみせています。

「ワンカルビ」は、大阪市の「株式会社ワン・ダイニング」が運営。「郊外型低価格焼肉レストラン」業態として、2000年に第1号店をオープンしています。同チェーンは「ひとつ上の食べ放題」をキャッチフレーズに、テーブルオーダーバイキング方式を採用。メニューと空間をワンランクアップさせた「ワンカルビPREMIUM(プレミアム)」などの高付加価値路線の店舗開発にも力を入れています。


ワンカルビ店舗数 年推移

 焼肉ライク ~1年半弱の間に48.2%増~

2021年3月から7月までの4カ月間で9店増加し、2022年7月は前年同月比・18店舗増と、1年半弱の間に急速に店舗数を増やしています(※)。

運営会社「株式会社焼肉ライク」は「株式会社ダイニングイノベーション」グループ傘下で、2019年4月1日設立の若い会社です。1号店はこれに先立つ2018年8月にオープンしました。「欲しかった、1人で行ける焼肉屋」のコンセプトで注目を集め、「ひとり焼肉」業態のさきがけとなりました。
ホームページの「新店舗OPEN情報」によると、7月以降も9店舗の開店・開店予定があり(2022年10月25日現在)、意欲的な出店攻勢が続いています。


※同チェーンは2021年3月から当社の収集対象となったため、2021年3月(参考値)と、2021・2022年(7月時点)の年推移で比較しています。


焼肉ライク店舗数 年推移

 情熱ホルモン ~3年連続で前年割れも、2022年はやや増加~

5、3、10店と3年連続で前年の店舗数を下回ったものの、2022年はわずかながら増加に転じています。この結果、4年前と比べ17.9%減となりました。

運営企業は「五苑マルシン株式会社」で、計12ブランドを展開する「五苑マルシングループ」を形成しています。メインブランドの「情熱ホルモン」1号店は2005年にオープンしました。ちなみに、運営する焼肉店としてはランキング21位の「焼肉五苑」の方が先で、1988年にスタートしています。
同社では2020年にステーキ業態の出店を加速させるなど新業態開発にも力を入れていますが、このところは閉店や業態変更が多く、業態戦略の模索が続いている様子が窺えます(2022年10月現在の状況)。


情熱ホルモン店舗数 年推移

【まとめ】店舗数上位に目立つ「新興勢力」、「食べ放題」の有無も店舗拡大に関係?

ランキング30位内のチェーンの第1号店出店時期(または焼肉業態の展開を始めた時期)を調べたところ、およそ上半分のチェーンは2000年代以降のスタートが多く(14チェーン中10チェーン)、下半分のチェーンは1999年以前に店舗展開を始めているところが多いことがわかりました(17チェーン中14チェーン)。

つまり、ランキング上位チェーンは「比較的新興の勢力が多い」といえそうです。どこからを「新興勢力」とするかは難しいところですが、とにかく下半分のチェーンは1970年代後半から1990年代にかけてのチェーン創業や1号店出店が圧倒的に多い傾向にあります。
この時期創業のチェーンの中には、ここ1~2年高速出店のチェーンに抜かれて10位以内からランクダウンしていたり、同じグループ内で後発の焼肉業態がメインブランドに成長していたりといったケースが多々みられ、「新興勢力」に押され気味である点は否めません。全般的に「コロナ禍でも好調」とみられる焼肉チェーンの間においても、激しい競争やニーズの変化による浮沈や勢力争いが繰り広げられている状況が垣間見えます。

ちなみに、30位以内のチェーンで「食べ放題メニュー」の有無(※)も調べてみたところ、3分の2以上の21チェーンで実施していることがわかりました。10位以内では、すべてのチェーンで「食べ放題」があります。
「なし」のチェーンは、ホルモン専門店以外では上出の1970年代後半から1990年代に創業した比較的業歴が長いチェーンばかり。これらチェーンが別ブランドで「食べ放題専門店」を展開する範囲の棲み分けが進められているとはいえ、「食べ放題のあり・なし」がチェーン展開の勢いに少なからず影響を与えているものとみて間違いなさそうです。


※各チェーン・ホームページの「メニュー」等において、「食べ放題」の明記があるかないかで区別しました。

本記事は当社のチェーン店舗データをもとに作成しています


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