【2022年版】銀行・信金・信組・ろうきんの店舗数ランキング

2022年7月18日 | 業界・地域分析

銀行・信用金庫・信用組合・ろうきんの店舗数ランキング

利益低下や資金需要の伸び悩み、人口減少、デジタル化、FinTech・異業種の台頭など、近年金融機関を取り巻く環境は激変しています。そんな中、各金融機関の店舗数はどうなっているのでしょうか。
今回は、当社のチェーン店データを元に、金融機関の店舗数ランキング(2022年4月時点)を、4つの業態別(銀行・信用金庫・信用組合・労働金庫)に集計しました。


※インターネット専業銀行を含めた調査のため、本ランキングではATMも店舗数としてカウントしています(提携ATMは除く)。
ただし、当社が2022年4月の時点で収集できた店舗内・外のATMのみを反映させているため、実際の数と異なる場合があることをご了承ください。


データの集計方法について


  • 集計元のチェーン店データは、チェーン店の公開情報を当社が調査・収集したものです。すべてのチェーン店を網羅したものではありません。また、実態とは異なる場合がありますのでご了承ください。
  • 当社のチェーン店データ調査・収集は毎月を基本としていますが、隔月など定期収集のチェーンもあります。表・グラフの対象月に収集がなかったチェーンの場合、当月時点で最新のデータを記載しています。

■目次(クリックすると各項目に移動します)

銀行 ・トップ5は、ゆうちょとJAバンク、ほかネット銀行等ATM拠点が占める
・【表-1】店舗数ランキング(2022年4月時点、上位50)
信用金庫 ・1位「京都中央信用金庫」は、預金・貸出金残高でも頭一つリード
・【表-2】店舗数ランキング(2022年4月時点、上位50)
信用組合 ・断トツ1位は「茨城県信用組合」 しかし、預金・貸出金残高は・・・
・【表-3】店舗数ランキング(2022年4月時点、上位50)
労働金庫 ・「中央労働金庫」が店舗数、預金・貸出金ともに突出
・【表-4】店舗数ランキング(2022年4月時点、全13)
=まとめ= 「共同化」急ぐ金融業界
~店舗、窓口、ATMの集約・削減、業務の特化・軽量化 etc. ~

【銀行】店舗数ランキング

トップ5は、ゆうちょとJAバンク、ほかネット銀行等のATM拠点が占める


銀行店舗数のランキング1位は「ゆうちょ銀行(50,608店)」。公営時代の郵便貯金事業を引き継ぎ、全国津々浦々に窓口とATMのネットワークを持つゆうちょ銀行は、金融機関だけでなくすべてのチェーン店舗のトップとなっています(参照:【2022年版】店舗数が多い企業(ブランド)ランキング)。
2位「セブン銀行(24.184店)」も同様に、すべてのチェーン店舗の第2位に輝いていますが、実店舗を持たないため、ほぼATMの数を表しています。4位「ローソン銀行」、7位「イオン銀行」もATMを拠点とした銀行です。
また、5位の「イーネット」は、金融機関63社(2022年2月22日現在)の出資による共同ATMの設置や運営・保守業務をおこなう会社で、本来の銀行とは異なるものの、これもATMをサービス拠点とみなしてランキングに含めています。

「ザ・銀行」といったイメージの銀行が登場するのは6位「みずほ銀行(8,007店)」からで、8位「三菱UFJ銀行」、9位「三井住友銀行」、10位「りそな銀行」と都市銀行が続きます。
地方銀行のトップはランキング11位の「横浜銀行(848店)」で、続く12位は第二地方銀行の「東京スター銀行」。以降、13位「西日本シティ銀行」、15位「福岡銀行」、16位「広島銀行」、17位「十八親和銀行」、18位「静岡銀行」、19位「十六銀行」の順で続いています。

【表-1】銀行 店舗数ランキング(2022年4月、上位50)

順位 金融機関名 2022年4月
(店舗数)
業態
(※)
本店等所在地
1位 ゆうちょ銀行 50,608 その他の銀行 千代田区
2位 セブン銀行 24,184 その他の銀行 千代田区
3位 JAバンク 16,286 その他金融機関・会社
4位 ローソン銀行 13,462 その他の銀行 品川区
5位 イーネット 12,417 その他金融機関・会社 中央区
6位 みずほ銀行 8,007 都市銀行 千代田区
7位 イオン銀行 6,372 その他の銀行 千代田区
8位 三菱UFJ銀行 2,479 都市銀行 千代田区
9位 三井住友銀行 1,247 都市銀行 千代田区
10位 りそな銀行 849 都市銀行 大阪市
11位 横浜銀行 848 地方銀行 横浜市
12位 東京スター銀行 799 第二地方銀行 港区
13位 西日本シティ銀行 720 地方銀行 福岡市
14位 三井住友銀行
ローン契約コーナー
706 都市銀行
15位 福岡銀行 645 地方銀行 福岡市
16位 広島銀行 605 地方銀行 広島市
17位 十八親和銀行 604 地方銀行 長崎市
18位 静岡銀行 567 地方銀行 静岡市
19位 十六銀行 544 地方銀行 岐阜市
20位 北洋銀行 543 第二地方銀行 札幌市
21位 大垣共立銀行 542 地方銀行 大垣市
22位 八十二銀行 528 地方銀行 長野市
23位 三十三銀行 525 地方銀行 四日市市
24位 山陰合同銀行 482 地方銀行 松江市
25位 第四北越銀行 479 地方銀行 新潟市
26位 北海道銀行 477 地方銀行 札幌市
26位 常陽銀行 477 地方銀行 水戸市
28位 北陸銀行 443 地方銀行 富山市
29位 京都銀行 439 地方銀行 京都市
30位 千葉銀行 436 地方銀行 千葉市
31位 滋賀銀行 420 地方銀行 大津市
32位 筑波銀行 410 地方銀行 土浦市
33位 埼玉りそな銀行 409 その他の銀行 さいたま市
34位 七十七銀行 403 地方銀行 仙台市
35位 足利銀行 396 地方銀行 宇都宮市
36位 山口銀行 395 地方銀行 下関市
37位 池田泉州銀行 390 地方銀行 大阪市
38位 紀陽銀行 389 地方銀行 和歌山市
39位 関西みらい銀行 380 地方銀行 大阪市
40位 中国銀行 374 地方銀行 岡山市
41位 愛媛銀行 373 第二地方銀行 松山市
42位 四国銀行 372 地方銀行 高知市
43位 京葉銀行 371 第二地方銀行 千葉市
44位 群馬銀行 363 地方銀行 前橋市
44位 岩手銀行 363 地方銀行 盛岡市
46位 百五銀行 347 地方銀行 津市
47位 みちのく銀行 342 地方銀行 青森市
48位 東邦銀行 340 地方銀行 福島市
49位 沖縄銀行 338 地方銀行 那覇市
49位 りそなグループ
ビューアルッテATM
338 都市銀行

※金融庁の分類(銀行免許一覧)を参考に、当社のチェーン店データに基づき分類したものです。

  • 第二地方銀行
    一般社団法人第二地方銀行協会の会員。旧相互銀行から普通銀行に転換した銀行。
  • その他の銀行
    新たな形態の銀行業(ネット銀行等)、都銀・地銀に分類できない普通銀行、ゆうちょ銀行。
  • その他の金融機関・会社
    いずれの業態分類にも入らない金融機関(JAバンク、イーネット)。

【信用金庫】店舗数ランキング

1位「京都中央信用金庫」は、預金・貸出金残高でも頭一つリード


信用金庫の店舗数1位は「京都中央信用金庫(296店)」で、2位が「京都信用金庫(218店)」。比較的中小企業が多く、古くから「信金王国」と呼ばれてきた京都勢が店舗数でワンツーフィニッシュを飾りました。
3位は、東京都の城北地区を主な営業エリアとする「城北信用金庫」で、4位が兵庫県と大阪府の40市4町をカバーする「尼崎信用金庫」、5位が愛知県全域と静岡県湖西市がエリアの「岡崎信用金庫」、の順で続いています。

店舗数1位の「京都中央信用金庫(296店)」は、金融機関の活動状況を表す代表的な指標である預金残高と貸出金残高がそれぞれ5兆円、3兆円を超えており、こちらでも頭一つ抜き出た存在となっています。
「京都中央信用金庫」以外のトップテンがホームページで公開(※)している預金・貸出金残高をみると、10位の「城南信用金庫」が預金が4兆円弱、貸出金が約2兆3,500億円で2番目の規模となっています。そのほか、5位「岡崎信用金庫」と6位「埼玉縣信用金庫」が預金残高で3兆円台に乗せており、他の信金は2兆円台となっています。貸出金残高はいずれの信金も1兆3000億円~1兆8000億円と、比較的近い数字となっています。


※2022年7月現在、公開されている情報

【表-2】信用金庫 店舗数ランキング(2022年4月、上位50)

順位 金融機関名 2022年4月
(店舗数)
本店等所在地
1位 京都中央信用金庫 296 京都市
2位 京都信用金庫 218 京都市
3位 城北信用金庫 197 北区(東京都)
4位 尼崎信用金庫 196 尼崎市
5位 岡崎信用金庫 193 岡崎市
6位 埼玉縣信用金庫 191 熊谷市
7位 大阪シティ信用金庫 102 大阪市
8位 岐阜信用金庫 89 岐阜市
9位 浜松磐田信用金庫 87 浜松市
10位 城南信用金庫 86 品川区
11位 多摩信用金庫 81 立川市
11位 北海道信用金庫 81 札幌市
13位 碧海信用金庫 78 安城市
14位 西武信用金庫 76 中野区
15位 広島信用金庫 75 広島市
16位 東京東信用金庫 74 墨田区
17位 瀬戸信用金庫 72 瀬戸市
17位 大阪信用金庫 72 大阪市
19位 播州信用金庫 68 姫路市
20位 しずおか焼津信用金庫 67 静岡市
21位 水戸信用金庫 66 水戸市
22位 北おおさか信用金庫 65 茨木市
23位 さわやか信用金庫 64 港区
24位 朝日信用金庫 62 台東区
25位 横浜信用金庫 61 横浜市
26位 鹿児島相互信用金庫 58 鹿児島市
27位 川崎信用金庫 56 川崎市
27位 東濃信用金庫 56 多治見市
29位 西中国信用金庫 54 下関市
30位 しののめ信用金庫 53 富岡市
31位 かながわ信用金庫 50 横須賀市
31位 西尾信用金庫 50 西尾市
33位 愛媛信用金庫 49 松山市
33位 三島信用金庫 49 三島市
33位 千葉信用金庫 49 千葉市
33位 島田掛川信用金庫 49 掛川市
37位 いちい信用金庫 48 一宮市
37位 芝信用金庫 48 港区
39位 湘南信用金庫 47 横須賀市
40位 姫路信用金庫 46 姫路市
41位 川口信用金庫 45 川口市
41位 飯能信用金庫 45 飯能市
43位 蒲郡信用金庫 44 蒲郡市
43位 福岡ひびき信用金庫 44 北九州市
43位 桑名三重信用金庫 44 桑名市
46位 きのくに信用金庫 43 和歌山市
46位 呉信用金庫 43 呉市
48位 青い森信用金庫 42 八戸市
48位 静清信用金庫 42 静岡市
48位 福井信用金庫 42 福井市

【信用組合】店舗数ランキング

断トツ1位は「茨城県信用組合」
しかし、預金・貸出金残高は・・


信用組合の1位は「茨城県信用組合(84店)」。2位「長野県信用組合(52店)」との差が30店舗超と飛び抜けた店舗数規模を誇っています。3~5位の「新潟縣信用組合(44店)」、「大東京信用組合(41店)」、「福岡県信用組合(40店)」)はほぼ同数で、6~10位(大分県信用組合、ぐんまみらい信用組合、山梨県民信用組合、広島市信用組合、近畿産業信用組合)も順に、38、36、36、35、33と、近い店舗数となっています。

一方、上位10信組がホームページで公開(※)している預金・貸出金残高をみると、店舗数規模とは必ずしも比例していないことがわかります。 預金・貸出金残高が最も大きいのは、店舗数ランキングでは10位の「近畿産業信用組合」で、預金1兆3,734億円(2021年3月末現在)と、ランキング1位の「茨城県信用組合」を1,000億円ほど上回っています。貸出金も9,502億円(2021年3月末現在)で、他の信組に大差を付けています。
「近畿産業信用組合」は、芸術家、芸能家、芸術愛好家の職域信用組合としてスタートし、現在の名称になった2001年から4つの信用組合を次々と事業譲受や合併により吸収しています。このため、店舗数は33店ながら、信用組合としては広域な営業エリアを持っています。

また、同様に目を惹くのは、9位の「広島市信用組合」で、広島市中心の限られたエリアにもかかわらず、預金が8,000億円、貸出金が7,000億円を超えています(2022年3月末現在)。預金は店舗数2位の「長野県信用組合」に次ぐ大きさで、貸出金に関しては1位の「茨城県信用組合」よりも大きい金額となっています。地域に密着した金融機関としての、同信組の活発な活動状況が窺えます。


※2022年7月現在、公開されている情報

【表-5】信用組合 店舗数ランキング(2022年4月、上位50)
※実店舗のみでATMは含まれません

順位 金融機関名 2022年4月
(店舗数)
本店等所在地
1位 茨城県信用組合 84 水戸市
2位 長野県信用組合 52 長野市
3位 新潟縣信用組合 44 新潟市
4位 大東京信用組合 41 港区
5位 福岡県信用組合 40 福岡市
6位 大分県信用組合 38 大分市
7位 ぐんまみらい信用組合 36 高崎市
7位 山梨県民信用組合 36 甲府市
9位 広島市信用組合 35 広島市
10位 近畿産業信用組合 33 大阪市
11位 横浜幸銀信用組合 28 横浜市
12位 第一勧業信用組合 27 新宿区
13位 北央信用組合 26 札幌市
14位 鹿児島興業信用組合 25 鹿児島市
15位 広島県信用組合 24 広島市
15位 兵庫県信用組合 24 神戸市
17位 青森県信用組合 23 青森市
18位 岐阜商工信用組合 22 岐阜市
18位 群馬県信用組合 22 安中市
18位 淡陽信用組合 22 洲本市(兵庫県)
18位 銚子商工信用組合 22 銚子市
22位 都留信用組合 21 富士吉田市(山梨県)
23位 空知商工信用組合 20 美唄市(北海道)
24位 熊本県信用組合 18 熊本市
24位 成協信用組合 18 東大阪市
26位 共立信用組合 17 大田区
26位 香川県信用組合 17 高松市
26位 中ノ郷信用組合 17 墨田区
29位 ハナ信用組合 16 渋谷区
29位 笠岡信用組合 16 笠岡市(岡山県)
29位 君津信用組合 16 木更津市
29位 秋田県信用組合 16 秋田市
29位 大同信用組合 16 大阪市
29位 飛騨信用組合 16 高山市
29位 福島県商工信用組合 16 郡山市
36位 あかぎ信用組合 15 前橋市(群馬県)
36位 あすか信用組合 15 新宿区
36位 いわき信用組合 15 いわき市(福島県)
36位 のぞみ信用組合 15 大阪市
40位 イオ信用組合 14 岐阜市
40位 奄美信用組合 14 奄美市(鹿児島県)
40位 協栄信用組合 14 燕市(新潟県)
40位 札幌中央信用組合 14 札幌市
40位 相双五城信用組合 14 相馬市(福島県)
40位 朝銀西信用組合 14 岡山市
40位 那須信用組合 14 那須塩原市(栃木県)
40位 富山県信用組合 14 富山市
40位 豊橋商工信用組合 14 豊橋市
40位 房総信用組合 14 茂原市(千葉県)
40位 両備信用組合 14 府中市(広島県)

【労働金庫】店舗数ランキング

「中央労働金庫」が店舗数、預金・貸出金ともに突出


労働金庫はかつては各都道府県ごとに一つずつありましたが、1998~2003年にかけて広域統合が実施され、現在では13労働金庫に落ち着いています。店舗数ランキングで1~7位と、9位の「四国労働金庫」が、この時期に統合された労働金庫です。8位・北海道、9位・静岡県と、11~13位の新潟県、長野県、沖縄県は、現在もそれぞれの道県内を営業エリアとしています。

店舗数1位の「中央労働金庫」は、首都圏を含む関東8都県の統合だけに、390店と最も多い店舗数を誇っています。2位は「九州労働金庫(338店)」で、3位「東北労働金庫」、4位「東海労働金庫」、5位「近畿労働金庫」の順で続いています。

各ろうきんがホームページで公開(※)している預金・貸出金残高をみると、比較的店舗数規模との相関性が高く、おおむね店舗数に比例した預金・貸出金残高の大きさとなっています。
中でも店舗数1位の「中央労働金庫」は、預金が約6兆6,700億円、貸出金が約4兆5,800億円で、ともに他のろうきんを圧倒。地方銀行の中堅どころに匹敵する金額となっています。また、預金高が2番目に多いのは「近畿労働金庫(2兆4.000億円弱)」で、ほかの店舗数上位ろうきん(東北、九州、東海)も、2兆円台前半の水準で続いています。 一方、県・道内限定ながら比較的店舗数が多い「静岡」と「北海道」は、預金高が1兆を超え、貸出金もそれぞれ9,000億円弱、約7,600億円と健闘しています。


※2022年7月現在、公開されている情報

【表-4】労働金庫 店舗数ランキング(2022年4月、全13)

順位 金融機関名 2022年4月
(店舗数)
本店等所在地
1位 中央労働金庫 390 千代田区
2位 九州労働金庫 338 福岡市
3位 東北労働金庫 287 仙台市
4位 東海労働金庫 163 名古屋市
5位 近畿労働金庫 161 大阪市
6位 中国労働金庫 145 広島市
7位 北陸労働金庫 107 金沢市
8位 北海道労働金庫 102 札幌市
9位 静岡県労働金庫 92 静岡市
9位 四国労働金庫 92 高松市
11位 新潟県労働金庫 86 新潟市
12位 長野県労働金庫 55 長野市
13位 沖縄県労働金庫 45 那覇市

ランキングは当社のチェーン店舗データをもとに作成しています


日本ソフト販売が提供する、全国のチェーン店舗データ(飲食店・コンビニ・ドラッグストアなど)についての詳しいサービス情報は、こちらからご覧いただけます。


【まとめ】「共同化」急ぐ 金融業界
  ~店舗、窓口、ATMの集約・削減、業務の特化・軽量化 etc.~

金融業界の共同化

金融業界ではここ2~3年、特に地方銀行を中心に経営統合や合併など活発な再編の動きがみられます(参照:【2021年版】銀行・信金・信組の店舗数ランキング&再編の状況)。戦略的な業務提携や連携・協業まで含めると、常に話題に事欠かない状況が続いています。
こうした大きな再編の動きの一方、拠点(支店・ATM等)の統廃合や他の金融機関との共同化など、経営効率化のための「小さな再編」も活発化しています。


都市銀行の店舗再編計画


「三菱UFJ銀行」では、2023年度までに約200店舗減らす(2017年度末比)計画が進行中で、窓口数や取扱事務を減らした「軽量店」の割合は逆に増やす方針です。「みずほ銀行」も、3年ほど前から2024年度末までに130拠点を削減する計画を進めています。また「三井住友銀行」は、個人向けコンサルティングに重点を置いた「軽量店」を、2022年度末までに約300店舗に増やす、としています。


「店舗内店舗方式」による効率化


地方銀行ではここ数年「店舗内店舗方式」での拠点再編が盛んにおこなわれています。支店内に別の支店を移設・設置する方式で、実質統合の形を取りながら、顧客は支店名や店番、口座番号をそのまま利用できる店舗形態です。この場合、店舗数のカウントは変わらず、移設元店舗の閉鎖等によるコスト削減効果は大、となります。この「店舗内店舗」の動きは信用金庫や信用組合にも広がっています。


ほかの金融機関との店舗共同化


別の金融機関同士による店舗の「共同利用」「共同窓口設置」の動きも増えています。「千葉銀行」と「武蔵野銀行」、「福井銀行」と「福邦銀行」など地銀同士の提携に伴うケースや、「静岡銀行」と「三島信用金庫」の地銀・信金の組み合わせによる店舗の共同運営など。後者は、静銀が支店移転後の跡地に設けた出張所の余剰スペースに三島信金の支店が入って共同運営する、という形で、2021年にスタートしています。
また「北海道銀行」は、2022年3月以降立て続けに「北海道信用金庫」「伊達信用金庫」「遠軽信用金庫」との共同窓口設置を発表。こちらは、銀行が「店舗内店舗方式」で支店を移転し、店舗がなくなって不便になる地域の信用金庫支店内に、銀行の共同窓口とATMを設置するというパターンです。


ATMの共同化も進む


ATMを共同化するケースも増加しています。数年前から都市銀行や地方銀行でATMの相互開放や手数料優遇化等が盛んにおこなわれていましたが、このところ目立つのはさらに一歩踏み込んだケースです。
2019年から店舗外ATMの相互開放を実施している「三菱UFJ銀行」と「三井住友銀行」は、これをさらに発展させ、ATM運営全般(監視や警備、現金輸送、コールセンター業務等)の共同化を図るために調整を進めています。また、「愛知銀行」と「名古屋銀行」は、店舗数ランキング5位にも登場している「イーネット」の銀行ATM代替サービスを活用し、店舗外ATM(一部)の共同化を実現しています。
さらに、2022年に入ってからは、「群馬銀行」と「しののめ信用金庫」のように、銀行・信金間でもATM共同化の動きが増え始めています。


「効率化」と「利便性確保」の両立なるか


これら「窓口やATM共同化の動き」は、「店舗運営の効率化」と「顧客の利便性確保」の両立を図ることを主な狙いとしています。
実際のところ、コンビニATMの普及やネットバンキング・キャッシュレス化等で、銀行の窓口利用、ATMの利用ともに減少傾向にあり、今後もその流れが止まることはないものと考えられます。
かといって、経済合理性だけで利用者が減った拠点をどんどん廃止していくわけにもいきません。支店やATMの統廃合、共同化によりコストを削減して収益改善を図る一方で顧客利便性を確保するための模索が、デジタル技術を駆使しつつ、今後も続けられていきそうです。


本記事は当社のチェーン店舗データをもとに作成しています


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