【2023年版】宅配ピザチェーンの店舗数ランキング

2023年2月20日 | 業界・地域分析

宅配ピザチェーン店

「宅配」という特性を生かして、コロナ禍でも好調を続けてきた宅配ピザチェーン。昨今の店舗数はどのような動きをみせているのでしょうか。
今回は、当社のチェーン店データを元に、宅配ピザチェーンの2022年1月~2023年1月の店舗数推移やチェーン別ランキング、前年同月比増減状況などを集計しました。また、2019~2023年の店舗数年推移をチェーン別に比較することにより、ここ4年間の業界動向を探ってみます。


データの集計方法について


  • 集計元のチェーン店データは、チェーン店の公開情報を当社が調査・収集したものです。すべてのチェーン店を網羅したものではありません。また、実態とは異なる場合がありますのでご了承ください。
  • 2023年1月時点で、国内に10店舗以上展開しているチェーン店を集計の対象にしています。
  • 当社のチェーン店データ調査・収集は毎月を基本としていますが、隔月など定期収集のチェーンもあります。表・グラフの対象月に収集がなかったチェーンの場合、当月時点で最新のデータを記載しています。
  • 店舗数の増減率(%)は、2023年1月と2022年1月の対比で算出しています(小数点第3位以下は四捨五入)。

【月別推移】宅配ピザチェーン 店舗数(全体、2022年1月~2023年1月)

↑5.04% ひと月も前月を下回ることなく、年間120店舗増加


ピザチェーン全体の1年間(2022年1月~2023年1月)の店舗数推移をみると、ひと月も前月を下回ることなく推移しています。数としては、最も増加したのが2022年2月の20店で、そのほかでは10~15店舗増の月が多くなっています。一方で2~3店増やプラスマイナスゼロの月もあるため、平均すると月10店舗増のペースとなっています。
この結果、2023年1月と2022年1月を比較した前年同月比では、5.04%(120店舗)増加しています。「コロナ禍でも比較的好調」とみられてきた業態の中でも、寿司や焼肉チェーン以上の伸び率となっています。


宅配ピザチェーン月別推移

店舗数の前年同月比増減率

業種 2022年1月 2023年1月 増減率(%)
宅配ピザチェーン 2,382 2,502 +5.04

【2023年版】宅配ピザチェーン 店舗数ランキング

上位4チェーンは前年同月比プラス、5位以降はマイナスか現状維持がほとんど


チェーン別店舗数ランキングを1月の前年同月比でみると、最も増加率が大きいのは3位「ピザハット」の9.52%(44店増)で、1位「ドミノ・ピザ」が8.91%(78店増)で続いています。4位「ナポリの窯」も7.14%(6店増)と堅実に増加しています。2位「ピザーラ」は、0.37%(2店増)の微増となっています。

ランキング上位4社の増勢に対し、続く4社(5~8位)はいずれもマイナス。「ピザポケット」と「ピザ・カリフォルニア」はそれぞれ1店舗ずつ、率にして1%台のわずかな減少に止まっているものの、「ピザ・ロイヤルハット」は5%(3店)の減少。最も大きな減少率となったのは「シカゴピザ」で、2ケタ台(10.53%:6店)の減少となっています。 結局、5位以降では10チェーン中6チェーンが前年同月を下回っており、3チェーンがプラスマイナスゼロの現状維持。10位「ストロベリーコーンズ」のみ約7%増と健闘しています。

チェーン別 店舗数ランキング

順位 チェーン名 2022年1月 2023年1月 増減率(%)
1位 ドミノ・ピザ 875 953 +8.91
2位 ピザーラ 535 537 +0.37
3位 ピザハット 462 506 +9.52
4位 ナポリの窯 84 90 +7.14
5位 ピザポケット 61 60 -1.64
6位 ピザ・カリフォルニア 59 58 -1.69
7位 ピザ・ロイヤルハット 60 57 -5.0
8位 シカゴピザ 57 51 -10.53
8位 アオキーズ・ピザ 51 51 0
10位 ストロベリーコーンズ 43 46 +6.98
11位 ピザクック 33 32 -3.03
12位 リトパ 26 26 0
13位 シカゴピザ(シカゴデリータ) 19 18 -5.26
14位 ピザダーノ 17 17 0

ランキングは当社のチェーン店舗データをもとに作成しています


日本ソフト販売が提供する、全国のチェーン店舗データ(飲食店・コンビニ・ドラッグストアなど)についての詳しいサービス情報は、こちらからご覧いただけます。


【年推移】チェーン別 店舗数(2019~2023年1月時点、上位10チェーン)

ドミノ・ピザ ~出店大攻勢で、4年前に比べ79.1%の急増~

84店、76店、183店、78店と毎年増え続けています。その結果4年間で約79%増と、コロナ禍どこ吹く風の驚異的な伸びをみせています。特に2022年は前年同月に比べて急増(26%増)しています。

ドミノ・ピザの運営会社は「株式会社ドミノ・ピザ ジャパン」。1号店(東京・恵比寿)のオープンは1985年で、宅配ピザチェーンの業態としては国内初の出店でした。2021年12月、島根県への出店により47都道府県制覇を果たしています。

同社は数年前から1,000店達成を目標にスピード出店を進め、2023年1月時点であと50店弱のところまできています。また「2033年に2,000店」というさらなる目標も掲げています。


ドミノ・ピザ 年推移

ピザーラ ~動き少なく、4年前に比べ2.1%増~

3店、0店、6店、2店と増加数はわずかながら、前年を下回ることなく推移しています。4年前との比較では、2.1%の若干増となりました。

ピザーラの運営会社は「株式会社フォーシーズ」で、1987年に1号店(東京・目白)がオープンしました。大手3チェーン(ドミノ・ピザ、ピザーラ、ピザハット)の中で唯一「日本生まれのブランド」です。

当社のチェーン店データでは、2018年の4月時点はまだピザーラが店舗数1位であったことが確認できます。当時から店舗数の動きが少なくほぼ現状維持を続けていたため、2018年の秋頃にドミノ・ピザと首位が入れ替わったものとみられます。


ピザーラ 年推移

ピザハット ~ここ3年の出店加速で、4年前比22.2%の大幅増~

2020年は前年の店舗数をわずかに下回ったものの、2021~2023年は年々増加幅を拡大しながら(21→31→44店増)推移しています。その結果、4年前比で22.2%増と順調な伸び率を示しています。ピザハットの店舗数は長らく3位が定位置のようになっているものの、2023年1月は500の大台に乗り、2位「ピザーラ」の背中が見えるところまできています。

運営会社は「日本ピザハット・コーポレーション株式会社」。2023年は「日本上陸50周年」にあたり、1月には感謝セールが開催されました。日本での事業は「ピザレストラン」から始まり、以来経営母体は複雑な経緯をたどっています。1990~2010年代には日本ケンタッキー・フライド・チキンが事業を展開し、その後投資ファンドへの譲渡を経て、2022年8月には福岡市の「ヤマエグループホールディングス」の買収により同社傘下に入っています。


ピザハット 年推移

ナポリの窯 ~減少を取り戻し、4年前と同じ店舗数に~

2019年1月の90店から翌年8店舗減少し、その後1店、1店、6店と増やした結果、2023年1月は4年前と同じ90店舗に戻った形となりました。

運営会社は仙台市の「株式会社ストロベリーコーンズ」で、開業は2005年。2023年1月現在29都道府県で店舗展開しており、東京都(19店舗)と、本拠地・宮城県(16店舗)の店舗数が突出しています。店舗数規模500店以上の大手3チェーンと4位以降の格差は大きく、ナポリの窯がその境目になっています。


ナポリの窯 年推移

ピザポケット ~ほぼ横ばいに推移し、4年前と同じ店舗数に~

2019年1月の60店からプラスマイナス2店舗の範囲内でほぼ横ばいに推移し、2023年1月は4年前と同じ店舗数に収まりました。

運営会社は福岡市の「ポケットフーズ株式会社」で、創業は1987年。2023年1月現在 13都道府県に展開しており、本拠・福岡県に26店舗と集中、次いで熊本県(14店舗)に多く出店しています。九州地方中心の展開で、北海道・東北や中部地方には未進出です。

2022年1月に福岡市の石油販売会社「株式会社新出光」がポケットフーズ社を買収し、経営母体が変わっています。新出光は石油事業依存からの脱却を図るプロジェクトを進めており、グループ内の資産を活用して出店を強化していく方針です。


ピザポケット 年推移

ピザ・カリフォルニア ~2020・2021年の減少が響き、4年間で14.7%減に~

2020年と2021年で計10店舗減少し、2022年がプラス1店、2023年マイナス1店と推移した結果、4年前に比べ14.7%と大きく減少しました。

運営会社は1986年創業の「株式会社ピーシーエス(東京都渋谷区)」。2023年1月現在 18都道府県に店舗があり、愛知県や熊本県(各9店舗)、大分県(8店舗)に比較的多く出店しています。本拠地は東京ながら東北・関東地方は少なく、中国・九州中心に広く分布しています。


ピザ・カリフォルニア 年推移

ピザ・ロイヤルハット ~年々減少し、4年間で14.9%の大幅減~

4店減、2店減、1店減、3店減、と年々少しずつ減少しています。そのため、4年間でマイナス14.9%の大幅減となりました。

運営会社は徳島市の「株式会社ピザ・ロイヤルハット」で、1989年に創業しています。 2023年1月現在 8都道府県に展開しており、愛媛県が16店舗と最も多く、本拠地・徳島県と広島県が各10店舗、香川県が9店舗。四国と、瀬戸内を挟んだ中国の一部が主なエリアとなっています。


ピザ・ロイヤルハット 年推移

シカゴピザ ~2023年の減少が響き、4年間で8.9%減に~

2店増、2店減、1店増と2022年まではほぼ横ばい状態だったものの、2023年1月に6店舗減少したため、4年前との比較で8.9%の減少となりました。

運営会社は大阪府茨木市の「株式会社シカゴピザ」で、1986年にピザ宅配事業をスタート。「シカゴデリータ(ランキング13位)」のブランドでも展開しています。
「シカゴピザ」「シカゴデリータ」を合わせて2023年1月現在 16都道府県に展開しており、本拠地・大阪府(14店)と隣県の京都府(13店)に最も多く出店しています。また「シカゴデリータ」は全18店舗中14店が近畿地方への出店で、特に大阪は「シカゴピザ」より「シカゴデリータ」の方が多くなっています。


シカゴピザ 年推移

アオキーズ・ピザ ~3年間で2%弱の若干減~

2021年に前年に比べて2店減少し、2022年は1店増加、2023年はプラスマイナスゼロ、と推移しています。その結果、3年間で2%弱の減少となりました。

運営会社は名古屋市の「株式会社アオキーズ・コーポレーション」で、1987年に創業しました。2023年1月現在 3つの都道府県で展開しており、本拠地・愛知県が29店、三重県で13店、岐阜県9店と、東海地方をエリアとしています。


※2019年1月時点はまだ収集の対象となっていなかったため、2020~2023年の1月時点で比較しています。


アオキーズピザ 年推移

ストロベリーコーンズ ~2020年の大幅減により、4年前比17.9%減~

2020年に前年同月から11店と大きく減少し、2021年はプラスマイナスゼロ、2店減、3店増と推移しました。2020年の大幅減により、4年間で17.9%減とランキング中で最も大きな減少率となりました。

運営会社は仙台市の「株式会社ストロベリーコーンズ」。同社はランキング4位の「ナポリの窯」と「ストロベリーコーンズ」の2ブランドを展開しています。2023年1月現在 16都道府県で展開しており、本拠地・宮城県に18店舗が集中しています。次いで多いのが岩手県の6店舗で、そのほかの都道府県は1~3店となっています。


ストロベリーコーンズ 年推移

【まとめ】売上高・店舗数増加の影で 進む大手寡占化

「店舗増」の中身は、ほとんど大手チェーンの増加分


ピザ協議会が調査・公表している「ピザマーケット推計値 2008-2021」の「ピザ宅配店・ピザ専門店のピザ売上高」によると、2008年度(1,152億円)から年々順調に増加していた売上高は2016年度に前年度を下回り、2018年度まで3年連続で少しずつ減少しました。ところが2019年度からまた増加に転じ、2021年度は1,932億4,000万円(前年度比108.3%)と拡大しています。この推移からコロナ禍前には頭打ち傾向だった需要が、デリバリー・テイクアウト好調が牽引する形で勢いを取り戻したものと考えられます。

これを裏付けるように、店舗数データでみても1年間(2022年1月~2023年1月)に5.04%増と全体では至って順調。しかしチェーン毎の状況も併せてみると、大手3チェーン(ドミノ・ピザ、ピザーラ、ピザハット)の増勢に対し4位以降は横ばいまたは減少しているチェーンばかりで、「店舗増」の中身がほとんど大手チェーンの増加分であることがわかります。実際、大手3チェーンの店舗数を合わせると、チェーン全体の約80%を占めており(※)、成長の影で大手への寡占化が進行していることを窺わせます。

※2023年1月時点の、10店舗以上を展開するチェーン全体に占める大手3チェーンの構成比。


中堅・中小チェーンは、なぜか西日本に多く分布


もっとも、「宅配」が大前提となっている業界のためか、ランキング4位以降の中堅・中小チェーンは地方中心に独自の展開を図るチェーンが多いようです。これらは地域的な傾向がみられ、中堅・中小10チェーン(4~14位)のうち7チェーンが近畿地方や福岡市、徳島市などの西日本に本拠地を置いています。店舗も全体的に近畿や九州、四国などへの出店が多く、北海道・東北や関東は少なくなっています。東京や横浜、仙台に本社があるチェーンですら関東への出店は少なく、むしろ近畿や四国・九州には比較的広い範囲に出店がみられます。
西日本に多い理由は定かではありませんが、大手も中小チェーンも創業時期があまり変わらないため、大手が進出する前に地元でいち早く創業したチェーンがある程度足場を固めたのではないかと推察できます。また中小チェーンの中には「お好み焼き」も提供しているところが複数あるため、いわゆる「粉もん文化」への親和性の高さも、西日本でピザ店が多い理由の一つかもしれません。

大手に偏っているとはいえ、コロナ禍の追い風を受けて店舗数が確実に増加しているピザ宅配チェーン。コロナ特需があった他の業界では2022年に反動減となるケースもみられましたが、ピザ宅配業界は今のところ好調を持続しています。
世の中がウィズコロナ、アフターコロナへと歩みを進める中で、引き続き需要を拡大していけるのか、大手チェーンの寡占化はさらに進んでいくのか、など、今後の動向が注目されます。


本記事は当社のチェーン店舗データをもとに作成しています


日本ソフト販売が提供する、全国のチェーン店舗データ(飲食店・コンビニ・ドラッグストアなど)についての詳しいサービス情報は、こちらからご覧いただけます。


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