【2023年版】コンビニエンスストアの店舗数ランキング

2023年3月13日 | 業界・地域分析

コンビニエンスストアチェーン

コンビニ大手3チェーンの決算発表では、営業収益や利益、平均日商・客数・客単価と軒並み前年同期を上回り、順調な回復ぶりを示しているコンビニ業界。昨今の店舗数はどう動いているのでしょうか。
2023年版(2022年1月~2023年1月)では、当社のチェーン店データを元に、コンビニエンスストア店舗数の月別推移やチェーン別店舗数ランキング、前年同月比増減状況を集計しました。また、2019~2023年の店舗数年推移をチェーン別に比較することにより、ここ4年間の業界動向を探ってみました。


データの集計方法について


  • 集計元のチェーン店データは、チェーン店の公開情報を当社が調査・収集したものです。すべてのチェーン店を網羅したものではありません。また、実態とは異なる場合がありますのでご了承ください。
  • 2023年1月時点で、国内に10店舗以上展開しているチェーン店を集計の対象にしています。
  • 当社のチェーン店データ調査・収集は毎月を基本としていますが、隔月など定期収集のチェーンもあります。表・グラフの対象月に収集がなかったチェーンの場合、当月時点で最新のデータを記載しています。
  • 店舗数の増減率(%)は、2023年1月と2022年1月の対比で算出しています(小数点3位以下は四捨五入)。

【月別推移】コンビニエンスストアチェーン 店舗数(全体、2022年1月~2023年1月)

↓0.28% ほぼ横ばい水準ながら、3年連続で減少続く


コンビニチェーン全体の1年間(2022年1月~2023年1月)の店舗数の動きをみると、前月を下回る月が8カ月に及んだものの、減少した分をほぼ取り戻すジグザグ線を描いて推移した結果、1年間では0.28%の微減となりました。
前回2022年版が0.05%減、2021年版では0.07%減と、ほぼ横ばい水準ながらコンビニ店舗数は徐々に減少しています。


コンビニ店舗数 月別推移

店舗数の前年同月比増減率

業種 2022年1月 2023年1月 増減率(%)
コンビニエンスストアチェーン 56,919 56,759 -0.28

【2023年版】コンビニエンスストアチェーン 店舗数ランキング

13チェーンで前年同月比減 再編一段落で順位は変わらず


チェーン別店舗数ランキングを1月の前年同月比でみると、増加したのは4チェーンのみ。17位「ファミマ!!」の増加率が2.27%と最も高いものの、数にするとたった1店の増加に過ぎません。残る増加組は12位「生活彩家(0.90%・1店増)」、5位「セイコーマート(0.52%・6店増)」、1位「セブン・イレブン(0.38%・80店増)」の3チェーンですが、1%に届かない低水準の伸び率となっています。

一方、減少チェーンのうちランキング上位は総じて減少率が低く、9位以降に7~9%台の比較的大きな減少幅が目立っています。コンビニ全体で店舗数が減少傾向にあるとはいえ、中小規模チェーンでより事態が進んでいるようです。

2022・2021年版との違いは、業界再編による店舗のブランド転換や営業終了といった動きが見られなかった点です。そのため「10店舗以上を展開するコンビニチェーンの数」は「18」で2022年版と変わらず、ランキングも同じ順位です。

チェーン別 店舗数ランキング

順位 チェーン名 2022年1月 2023年1月 増減率(%)
1位 セブン・イレブン 21,031 21,111 +0.38
2位 ファミリーマート 16,348 16,314 -0.21
3位 ローソン 13,812 13,735 -0.56
4位 ミニストップ 1,932 1,868 -3.31
5位 セイコーマート 1,163 1,169 +0.52
6位 デイリーヤマザキ 1,005 985 -1.99
7位 NewDays 343 340 -0.87
8位 ローソン・スリーエフ 336 335 -0.30
9位 ニューヤマザキデイリーストア(※1) 237 219 -7.59
10位 NewDaysミニ 158 150 -5.06
11位 ナチュラルローソン 133 128 -3.76
12位 生活彩家 111 112 +0.90
13位 ポプラ 73 67 -8.22
14位 リコス(※2) 72 65 -9.72
15位 ヤマザキスペシャルパートナーショップ 54 54 0
16位 TOMONY 54 50 -7.41
17位 ファミマ!! 44 45 +2.27
18位 ら・む~マート 13 12 -7.69

※1 チェーン名「ヤマザキデイリーストア」の店舗を含む。

※2 旧チェーン名は「miniピアゴ」。

本記事は当社のチェーン店舗データをもとに作成しています


日本ソフト販売が提供する、全国のチェーン店舗データ(飲食店・コンビニ・ドラッグストアなど)についての詳しいサービス情報は、こちらからご覧いただけます。


【年推移】チェーン別 店舗数(2019~2023年1月時点、上位10チェーン)

セブン・イレブン ~ほぼ人口順に店舗も多い 4年前に比べ2.3%増~

当社のデータから経年変化の状況をみると、2021年に14店減った以外では前年を上回って推移しています。特に2020年1月は前年同月に比べて266店増、2022年も152店と大幅に増加しています。この結果、4年間で2.3%、数にすると484店の増加となりました。

運営会社は「株式会社セブン‐イレブン・ジャパン」。日本第1号の「セブン-イレブン」(東京都江東区 豊洲店)がオープンしたのは1974年です。ホームページによると、起源は1927年「アメリカ・テキサス州のオーククリフという町の小さな氷小売販売店」で、1946年、朝7時から夜11時までの営業時間にちなんで店名を「7-ELEVEN」としました。

当社データから都道府県別出店状況(2023年1月現在)を多い順にみると、東京都(2,840店)、神奈川県(1,483店)、大阪府(1,265店)、埼玉県(1,231店)、千葉県(1,150店)。人口の多い順に店舗も多く、人口4位の愛知県のみ6番目(1,058店)とイレギュラーになっています。一方、セブン・イレブンの店舗が少ないのは、高知県(45店)、鳥取県(47店)、島根県(60店)など、やはり比較的人口が少ない県となっています。
47都道府県万遍なく分布していますが、関東近県(山梨県等)は人口に比べて店舗数が多いなど、多少の偏りはみられます。


セブン・イレブン 店舗数年推移

ファミリーマート ~中部地方に多く分布 4年前に比べ1.3%の若干減~

2021年の116店増を除き、前年を下回って推移しています。2020年と2022年にそれぞれ160店、129店とまとまった数が減少した結果、4年間で1.3%(207店)の若干減となりました。

運営会社は「株式会社ファミリーマート」。1978年に現・合同会社西友がコンビニエンスストア事業を開始したのが同チェーンの始まりです。2010年に「エーエム・ピーエム・ジャパン」、2015年「ココストア」と合併し、2018年には「サークルKサンクス」とのブランド統合を完了と、ここ十数年の大きなコンビニ再編を主導しました。

都道府県別の出店状況をみると、東京都の2,323店に次いで多いのは愛知県(1,580店)で、三重県(388店)や岐阜県(348店)も10・11番目と比較的上位に付けています。経営統合により「サークルKサンクス」の地盤であった中部地方の比重が高まったようです。


ファミリーマート 店舗数年推移

ローソン ~大阪府に多く分布 4年前比は1.6%の若干増~

当社の件数情報を経年でみると、107店増、11店減、202店増、77店減と増減を繰り返しています。ただ、増加数が減少数を大きく上回っているため、4年間では1.6%(221店)の若干増となっています。

運営会社は「株式会社ローソン」。1975年の1号店「桜塚店(大阪府豊中市)」オープンが日本でのスタートとなりました。ホームページによると、同社の店名とマークは、1939年米国オハイオ州で営まれた「ローソンさんの牛乳屋さん」が由来とのことです。

都道府県別の出店状況では、最も多い東京都(1297店)と2番目の大阪府(1079店)との差が少ないことが、セブン・イレブンやファミリーマートと異なる点。元々は大阪が本拠地(1号店出店当時の親会社はダイエー)であったためとみられます。また、北海道の店舗数(676)が4番目に多いことも特徴的です。


ローソン 店舗数年推移

ミニストップ ~人口のわりに静岡県で多め 4年前に比べ14.1%の大幅減~

ミニストップの年推移で最も目立つのは、2020年に215店と大幅に減少している点で、1年で減った数としては10チェーン中最多となっています。翌2021年は3店増と辛くも増加に転じましたが、2022年(31店減)、2023年(64店減)とまた減少傾向を余儀なくされています。この結果、4年前に比べ14.1%(307店)の大幅減となりました。

運営会社はイオングループの「ミニストップ株式会社」で、ジャスコ(当時)が100%子会社として設立し、1980年に第1号店「大倉山店(横浜市)」がオープンしました。

同チェーンが出店しているのは全国27都道府県(2023年1月現在)。最も多いのは東京都(244店)で、次いで愛知県(194店)、千葉県(164店)、埼玉県(125店)の順。意外にも人口規模が900万人台の神奈川県(116店)より、300万人台の静岡県の方が店舗数が多い(124店)点が目立っています。一方、店舗数が10店舗未満の県は奈良県、福井県、愛媛県、大分県、滋賀県と、西日本に偏っています。


ミニストップ 店舗数年推移

セイコーマート ~北海道地域密着型チェーン 4年前比2.3%減~

当社の件数情報から経年推移をみると、2020年と2021年はそれぞれ28店減、11店減と前年を下回りましたが、2022・2023年は若干ずつ増加しています。前半の減少が響き、4年間では2.3%の若干減となりました。

運営会社は株式会社セコマ。1971年と国内で最も早く1号店(札幌店)を開店しています。原料生産・仕入から製造、物流、小売までを自ら担う独自のサプライチェーンを築き、地元からの要請があればコストを抑える工夫のうえ人口が少ない地域にも出店する、地域密着型のチェーンです。

当社データから都道府県別出店状況をみると、北海道(1,071店)がほとんどですが、茨城県と埼玉県にもそれぞれ86店と9店が出店していいます。ちなみにセイコーマート以外に北海道で展開しているチェーンは大手3社のみで、最大手セブン・イレブンでも992店に止まっています。


セイコーマート 店舗数年推移

デイリーヤマザキ ~工場がある都府県に多め 4年前に比べ8.2%減~

2022年のみ5店増と前年を上回ったものの、全体に減少傾向で推移しています。この結果、4年間で8.2%(88店)の減少となりました。

製パン最大手の山崎製パン株式会社が、社内事業で「デイリーヤマザキ」と「ニューヤマザキデイリーストア(ランキング9位)」の2ブランドを展開しています。

両ブランドを合わせた都道府県別の出店状況をみると、本社がある東京都(109店)よりも千葉県(110店)に多くの店舗が立地しています。3番目に多いのは大阪(107店)で、この3都府県は僅差で並んでいます。全国41都道府県に店舗があり、北海道、福井、鳥取、高知、鹿児島、沖縄が未進出地域です。
メーカー直営だけに、関東(千葉・東京・埼玉等)や愛知、大阪、熊本など工場がある都府県に比較的多く分布しています。


デイリーヤマザキ 店舗数年推移

NewDays ~駅売店がコンビニに 4年間で4.2%減~

当社がもつ経年情報を辿ると、7店、2店、3店、3店と少しずつ減少し続けた結果、4年前に比べて4.2%減となりました。

「株式会社JR東日本クロスステーション」が運営するエキナカ(駅構内の商業施設等)にあるコンビニエンスストアです。同社の沿革によると、2001年にグループ内で「ジェイアール東日本コンビニエンス」と「ジェイアール東日本商事 コンビニエンス部門」との統合・組織変更がおこなわれ、両者が運営していた「JC」「ミニコンビ」を結合した「NewDays」が誕生したとのことです。

「NewDays」「NewDaysミニ(ランキング10位)」を合わせた都道府県分布をみると、17都府県に出店しており、関東・東北全般、新潟・長野・山梨・静岡県に店舗がみられます。当然ながら、JR東日本の「営業区域」と一致しています。店舗数が多いのは東京都(163店)、神奈川県(70店)、千葉県(64店)といったところです。


NewDays 店舗数年推移

ローソン・スリーエフ ~関東4都県がエリア 4年間で5.6%減~

2店、10店、7店、1店と毎年減少して4年間で5.6%減となったものの、コロナ禍の影響が大きかった2020年を底に減少幅は改善に向かっています。

運営会社は「株式会社エル・ティーエフ」。横浜市を本拠にコンビニ展開していた「スリーエフ」と「ローソン」が、2016年に資本業務提携契約を締結。以降「スリーエフ」から「ローソン・スリーエフ」への転換が進められ、2018年3月に完了しました。

当社データによる都道府県別出店状況をみると、本拠地の神奈川県が157店と最も多く、次いで東京が88店、千葉・63店、埼玉・28店と、関東4都県がエリアとなっています。


ローソン・スリーエフ 店舗数年推移

ニューヤマザキデイリーストア ~小型の新ブランド 4年間で15.1%の大幅減~

4年間の経年推移をみると、6店、13店、8店、18店と減少を辿っており、4年前比は15.1%の大幅減となっています。

山崎製パン株式会社内の「デイリーヤマザキ事業統括本部」が展開しています。ランキング6位の「デイリーヤマザキ」に対し、こちらは「コンビニエンスストアとしての機能を装備した小型店舗」として位置づけられています。

山崎製パンのコンビニ展開は複雑な経緯を辿っています。1977年、子会社設立による「サンエブリー」で始まり、翌年には社内営業部が管轄する「ヤマザキデイリーストア」がスタートしました。
1999年からは新ブランドかつ新社名の「デイリーヤマザキ」への統一が進められたものの、ヤマザキデイリーストアの中には切り替えをしなかった店舗も少なくなかったようです。このため、2013年に社内事業(デイリーヤマザキ事業)となったのを機に新業態ブランド「ニューヤマザキデイリーストア」を設定し、以来、ヤマザキデイリーストアの「ニュー」への移行が進んでいます。
当社の件数情報を詳しくみると、2023年1月時点で208店舗が「ニューヤマザキデイリーストア」となっており、11店の「ヤマザキデイリーストア」が残っています。


ニューヤマザキデイリーストア 店舗数年推移

NewDaysミニ ~エキナカのミニコンビニ 4年前比21.1%減~

当社の件数情報を元に4年間の推移をみると、8店減、28店減、4店増、8店減、と2022年以外は前年を割り込んでいます。その結果、4年前比は10チェーン中最も大きい21.1%減となりました。「乗降客激減」という形でコロナ禍の影響を直接受けた駅のコンビニだけに、他のチェーンに比べて大きな減少幅になったものと推察できます。

運営会社は「NewDays」と同じ「株式会社JR東日本クロスステーション」。
「NewDays」の中で小型の店舗が「NewDaysミニ」という位置付けとみられますが、ホームページ等を見る限り、この2ブランドの店名以外の明確な区別は見つかりませんでした。


NewDaysミニ 店舗数年推移

【まとめ】数の拡大を追う時代は終わった?

日本フランチャイズチェーン協会が集計・発表した「コンビニエンスストア統計調査年間集計(2022年1月から12月)※」をみると、売上高が2年連続で増加し、来店客数は4年ぶりの前年比プラス(全店ベース)、平均客単価も8年連続のプラス(全店ベース)となっています。2022年の年間売上高(全店ベース)は11兆1,775億円で、2019年の11兆1,608億円を若干上回る水準まで回復しています。

※一般社団法人日本フランチャイズチェーン協会(JFA)正会員7社(セイコーマート、セブン-イレブン・ジャパン、ファミリーマート、ポプラ、 ミニストップ、山崎製パン デイリーヤマザキ事業統括本部、ローソン)が対象。


このように、他業種に比べても好調な回復ぶりをみせているコンビニ業界ですが、当社の集計では全体店舗数が3年連続で減少しており、チェーン毎の増減率をみても18チェーン中13チェーンで減少。まるで「店舗数を増やして成長する時代」はコンビニ界では終わったか、または休止状態に入ったかのようです。

実際、近年では「高付加価値商品の品揃え拡充」「店内調理サービスの拡充」「ヘルスケア強化型店舗の展開」「移動販売車の強化」など、収益性を重視した店舗開発や、地域における既存店舗の役割・機能の拡充を図る動きが目立っています。

業界全体の店舗数が頭打ちとなり、再編の動きも一段落したと思われる2023年、コンビニチェーンの新たな模索が繰り広げられているようにもみえます。それぞれのチェーンが今後どんな方向に動いていくのか興味深いところです。


本記事は当社のチェーン店舗データをもとに作成しています


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