【2025年版】焼肉チェーンの店舗数ランキング

2025年9月30日 | 業界・地域分析

焼肉チェーン店

輸入牛肉の仕入れ価格は円安等の要因から上昇しているものの、国内の消費低迷で和牛価格が下落傾向にあるといわれる焼肉業界。ここ1年の店舗数はどのように動いているのでしょうか。
【2025年版】では、当社のチェーン店データを元に、焼肉チェーンのチェーン別店舗数ランキング(2025年7月時点)や前年比の増減状況を、過去記事(202420232022年版)との比較も交えて振り返ります。


データの集計方法について


  • 集計元のチェーン店データは、チェーン店の公開情報を当社が調査・収集したものです。すべてのチェーン店を網羅したものではありません。また、実態とは異なる場合がありますのでご了承ください。
  • 2025年7月時点で、国内に10店舗以上展開しているチェーン店を集計の対象にしています。
  • 当社のチェーン店データ調査・収集は毎月を基本としていますが、隔月など定期収集のチェーンもあります。表・グラフの対象月に収集がなかったチェーンの場合、当月時点で最新のデータを記載しています。
  • 店舗数の増減率(%)は、2025年7月と2024年7月の対比で算出しています(小数点2位以下は四捨五入)。

【2025年版】焼肉チェーン 店舗数ランキング(1~15位)

1~15位のチェーン別店舗数ランキングを7月の前年同月比でみると、7チェーンで増加し、5チェーンが減少、プラスマイナスゼロは2チェーンとなっています。
1~6位は顔ぶれも順位も2024年版と全く同じですが、7位以降は順位の入れ替わりが激しく、2ランクアップしているチェーンが2、1ランクアップも2、2ランクダウンと1ランクダウンがそれぞれ1チェーンとなっています。


「焼肉きんぐ」の増勢つづく 業態転換による増加も


増加率が最も高いのはコロワイドグループのアトムが運営する「カルビ大将」で、1年前に比べて16.9%(10店舗)の大幅増でした。次いで増加率が高いのは店舗数2位の「焼肉きんぐ(8.3%・27店舗増)」で、「カルビ丼とスン豆腐専門店 韓丼(6.9%・5店舗増)」と続いています。
コロワイド社の「2025年3月期の業績に関する説明資料」には、同じアトム運営「がんこ炎」の「カルビ大将」への統合を実施した旨が記載されているため、「カルビ大将」の増加分はこの業態転換が影響しているものと推測できます。当社の集計でみても、2024年7月に13店舗あった「がんこ炎」は、2025年7月には1店を残すのみとなっています。

一方、減少率が最も高いのは「あみやき亭」の9.4%減(9店舗減)で、次いで「牛角(4.4%・23店舗減)」、「牛繁(3.6%・5店舗減)」と続きます。
また、2022~2024年は10~13位にランクインしていた「情熱ホルモン」が11.1%減(7店舗減)の2ケタ減となり、今回(2025年版)は圏外の17位となっています。



ここ4年で連続増加 または 連続減少のチェーンは?


ここ4年(202220232024・2025年版)の店舗数増減率をみると、連続で前年を上回って推移しているのは「焼肉きんぐ」「大阪焼肉・ホルモン ふたご」「カルビ丼とスン豆腐専門店 韓丼」の3チェーン。
ゼンショーグループの「熟成焼肉いちばん」は20222023年に大きく伸長し、2024年も堅実に増加していましたが、2025年版はプラスマイナスゼロとなっています。ここ数年進められたグループ内の他のブランド(宝島など)からの業態転換が終わり、焼肉ブランドの一本化が実現したようです。

一方、連続で減少しているのは「牛角」「牛繁」「あみやき亭」の3チェーンです。このうち「牛角」「あみやき亭」は、運営会社が多数のブランドを展開しており、牛角では「牛角焼肉食堂」と「牛角食べ放題専門店」、あみやき亭では「感動の肉と米(ステーキ)」の出店が近年拡大しているため、既存店舗の整理・業態転換、新業態の開発・拡充などの店舗政策が進められている状況が窺えます。

チェーン別店舗数ランキング(1~15位)

順位 チェーン名 2024年7月 2025年7月 増減率(%)
1位 牛角 520 497 -4.4
2位 焼肉きんぐ 325 352 +8.3
3位 七輪焼肉安安 161 163 +1.2
4位 安楽亭 141 139 -1.4
5位 牛繁 137 132 -3.6
6位 ときわ亭 98 98 0
7位 ワンカルビ 89 92 +3.4
7位 熟成焼肉いちばん 92 92 0
9位 あみやき亭 96 87 -9.4
10位 大阪焼肉・ホルモン ふたご 83 86 +3.6
11位 焼肉ライク 84 82 -2.4
12位 カルビ丼とスン豆腐専門店 韓丼 72 77 +6.9
13位 カルビ大将 59 69 +16.9
14位 牛角焼肉食堂 ー(※) 66
15位 焼肉トラジ 59 60 +1.7

※2025年4月から当社の収集対象となったため、2024年4月のデータはありません。


(注)当社(日本ソフト販売)では、同一企業が運営するチェーンでも、チェーン名(ブランド)が異なる場合は店舗数を分けて集計しています。


ランキングは当社のチェーン店舗データをもとに作成しています


日本ソフト販売が提供する、全国のチェーン店舗データ(飲食店・コンビニ・ドラッグストアなど)についての詳しいサービス情報は、こちらからご覧いただけます。


【新業態展開】焼肉チェーンにみる業態の多様化

チェーン運営会社が多数のブランドを展開する「マルチブランド戦略」は、すでに20~30年前から飲食業界で盛んにおこなわれていますが、焼肉チェーン業界でも近年、肉関連の業態はもちろん、肉以外のジャンルへの幅広い業態展開が目立っています。 そこで、ここ3~4年の新業態で店舗数が伸びているチェーンや、焼肉業界における新業態開発の特徴などを探ってみました。


テーマはズバリ「業態開発型リーディングカンパニー」


「焼肉きんぐ」を展開する物語コーポレーションは、同社が「次の成長エンジン」と位置付ける『ファストカジュアル業態』の焼肉チェーン「焼きたてのかるび」を2021年から展開。カルビ丼やユッケジャンスープをメニューの中心に据え、順調に店舗数を伸ばしています。またここ2~3年の間に、国内でカフェやとんかつ、海外ではハンバーグ専門店など新業態を次々と開発し、手掛ける業種の幅も拡げています。
同社の中期経営ビジョン「物語ビジョン2030」では、「成長を加速させる新業態・新事業開発」を成長戦略の一つとし、「業態開発型リーディングカンパニー実現に向けた全方位成長戦略」をテーマに掲げる徹底ぶりで、今後ますます新業態展開が加速化するものと見込まれます。


定食やどんぶり‥『ファスト』『コスパ』がキーワード?


店舗数ランキング14位の「牛角焼肉食堂」も、2021年から展開が始まっています。同ブランドはフードコート向けに開発された「牛角」の派生業態で、メニューの中心は焼肉定食や焼肉丼です。コロワイド社の「2025年3月期の業績に関する説明資料」では、傘下のレインズインターナショナルが運営する同チェーンについて「特に増店を進めている」と記載しており、グループにおける新規出店のけん引役を果たしている様子が窺えます。

また、あみやき亭グループでも、2021年からセルフサービススタイルのステーキ店「感動の肉と米」を始めています。ホームページでは「コスパに感動、米に感動、提供速度に感動」の3つを「こだわり」として掲げており、『ファスト』や『コスパ』を訴求する業態となっています。


高単価志向、カフェ、健康志向、390円均一・・・


焼肉を主力とする運営会社は、元々しゃぶしゃぶ、すき焼き、ステーキ・ハンバーグなど肉関連業態を自社開発やM&Aにより幅広く展開しているところが多く、これらに近年 食堂、食べ放題、居酒屋、ビストロ、割烹といった形式や、牛たん、ジンギスカン、とんかつ、寿司などの和食分野を拡充する動きがみられます。
店舗数はそんなに多くないものの「あみやき亭PLUS」や「焼肉やる気PREMIUM(韓丼の運営会社・やる気が出店)」など、高級感を高めた焼肉ブランドの導入も目立ちます。

2023年には、物語コーポレーションによる「果実屋珈琲」、「カルビ大将」を運営するアトム(コロワイドグループ)の「小さな森珈琲」と、相次ぐカフェ業態への参入もありました。
また、「焼肉ライク」を展開するダイニングイノベーションでは、日本におけるマスターフランチャイズ権を2021年に取得したブランド「七宝麻辣湯」を、2025年に最大50店舗新規出店する計画を公表しています。「七宝麻辣湯」は『美容健康・医食同源』がコンセプトの薬膳スープ春雨で、焼肉店に次ぐ収益の柱にする方針です。
カフェや健康志向の業態は、特に若年層や女性客などの需要が高いため、新しい客層の取り込み等を狙った展開であるとみられます。

さらに、店舗数ランキング18位(ランク外)「情熱ホルモン」の運営会社・五苑マルシンでは、2025年2月以降『採算度外視』を謳った新業態「ニクノヒ」を 5店相次いで開店しています。ホームページの「ニュース」では「黒毛和牛や生ビール、他にもこだわりの詰まったメニューが全品390円均一でお召し上がりいただけます」と紹介しており、明確な低価格戦略を打ち出しています。原材料費や人件費が高騰する中で、今後の店舗展開が気になる新ブランドです。

売り上げ好調チェーンはあるものの・・・

ランクイン焼肉チェーンのうち、公開された最近の業績資料(四半期報告・決算短信、売上高推移など)が確認できたのは、物語コーポレーションの焼肉部門(焼肉きんぐ)、富士達(七輪焼肉安安)、安楽亭の安楽亭・七輪房業態、あみやき亭の焼肉事業、の4社です。

このうち「物語コーポレーションの焼肉部門」は、2025年6月通期決算の売上高(直営店)は前年同期比11.7%増と大きく伸びています。七輪焼肉安安の「富士達」も、ホームページに掲載された2024年7月期の売上高は前期比7.0%の増収です。
一方、「あみやき亭の焼肉事業」の売上高は、2025年3月通期は0.4%の微減で、直近の2026年3月期第1四半期は5.1%減となっています。「安楽亭・七輪房業態」も、2025年3月通期の売上高が6.7%減と前年同期を下回り、2026年3月期第1四半期売上高は1.2%の若干減です。

決算短信や決算説明資料等をみると、【店舗数ランキング】や【新業態展開】の項で取り上げた「グループ内での業態の見直し」や「新業態の開発」をはじめ、「海外事業の拡大」「新商品の開発」「既存メニューのブラッシュアップ」「コストパフォーマンスの高いメニューの拡充」「期間限定商品の販売」「和牛一頭買いの導入」「デジタルマーケティングの強化」「DXによる店舗運営の効率化」「顧客体験価値の向上」「アラカルトメニューや一人焼肉企画の強化」etc.と、各社それぞれ様々な取り組みにより、集客や収益向上、中長期的な成長戦略を図っている様子が窺えます。
厳しい経営環境の中、今後どのような業種・業態構成の、どんな戦略のチェーン・運営会社が生き残り、成長していくのか、注目していきたいところです。



本記事は当社のチェーン店舗データをもとに作成しています


日本ソフト販売が提供する、全国のチェーン店舗データ(飲食店・コンビニ・ドラッグストアなど)についての詳しいサービス情報は、こちらからご覧いただけます。


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