【2024年版】ドラッグストアの店舗数ランキング
2024年4月22日 | 業界・地域分析
コロナ特需 → 反動減 → 行動制限緩和で回復 → 本格的に需要増加・・・といった経緯を辿ってきたここ数年のドラッグストア業界。ここ1年の店舗数はどのような動きをみせているのでしょうか。
2024年版(2023年1月~2024年1月)では、当社のチェーン店データを元に、ドラッグストア店舗数の月別推移やチェーン別店舗数ランキング、前年同月比増減状況など、過去記事(2023年版、2022年版、2021年版)との比較も交えて振り返ります。
データの集計方法について
- 集計元のチェーン店データは、チェーン店の公開情報を当社が調査・収集したものです。すべてのチェーン店を網羅したものではありません。また、実態とは異なる場合がありますのでご了承ください。
- 2024年1月時点で、国内に10店舗以上展開しているチェーン店を集計の対象にしています。
- 当社のチェーン店データ調査・収集は毎月を基本としていますが、隔月など定期収集のチェーンもあります。表・グラフの対象月に収集がなかったチェーンの場合、当月時点で最新のデータを記載しています。
- 店舗数の増減率(%)は、2024年1月と2023年1月の対比で算出しています(小数点2位以下は四捨五入)。
【月別推移】ドラッグストア 店舗数(全体、2023年1月~2024年1月)
↑5.1% 4年連続で前年比 5%超の増加
ドラッグストアチェーン全体の1年間(2023年1月~2024年1月)の店舗数推移をみると、すべての月で前月を上回っています。最も増加数が多いのは2023年11月の 234店舗増で、1年のうち半分は100店舗を超える前月比増となっています。この結果、2024年1月と2023年1月を比較した前年同月比で 5.1%増となりました。
当社の集計を遡ると、2021年版の前年同月比は 5.1%増、2022年版が 6.6%増、2023年版 6.5%増、そして今回が 5.1%増と、5%を超える力強い増加率が続いています。4年前との比較(2020年1月と2024年1月)でみると、25.6%(5,400店舗)ドラッグストアが増えたことになります。
店舗数の前年同月比増減率
業種 | 2023年1月 | 2024年1月 | 増減率(%) |
---|---|---|---|
ドラッグストアチェーン | 25,175 | 26,462 | +5.1 |
【2024年版】ドラッグストア 店舗数ランキング
ランキング 30位内のチェーンは「すべて増加」
チェーン別店舗数ランキングを1月の前年同月比でみると、ランキング圏内(30位)のチェーンは「すべて増加」し、プラスマイナスゼロも減少チェーンもない、という結果となりました。
この1年で最も高い伸び率をみせたのは ツルハグループの「くすりの福太郎(31.6%・74店舗増)」。次いで「ディスカウントドラッグコスモス(11.1%・149店舗増)」、「サンドラッグ(9.9%・91店舗増)」が、高い増加率を示しています。
ただし「くすりの福太郎」は、2023年11月に 前の月から一気に 73店増加しているため、通常の出店計画による増加ではないことが窺えます。ツルハグループのほかのブランドの状況をみると、メインの「ツルハドラッグ」も 11月に95店舗(8.9%)と急増した一方、「薬局くすりの福太郎」は 一気に同月 74店舗減、「調剤薬局ツルハドラッグ」も79店舗減少しています。こうしたことから、10月から11月にかけてグループ内でブランドの再編がおこなわれたものと推察できます。
このほか、ランキング2位の「ドラッグスギ(8.1%・185店舗増)」、4位「クスリのアオキ(8.4%・116店舗増)」、6位「クリエイトエス・ディー(8.0%・81店舗増)」と、比較的上位で 8%台の高い伸びが目立っています。
ちなみに 10店舗以上を展開する 31位以降のチェーンは「72(※)」あり、その内 28チェーンが前年に比べて増加、29チェーンで減少、15チェーンがプラスマイナスゼロ、です。すべて増加した上位30とは異なり、増加・減少チェーンの数が拮抗し、現状維持のチェーンが多くみられます。
※日本ソフト販売 調べ(2024年1月時点)。すべてのドラッグストアを網羅したものではありません。
チェーン別 店舗数ランキング
順位 | チェーン名 | 2023年1月 | 2024年1月 | 増減率(%) |
---|---|---|---|---|
1位 | ウエルシア | 3,533 | 3,677 | +4.1 |
2位 | ドラッグスギ | 2,282 | 2,467 | +8.1 |
3位 | ツルハドラッグ | 1,644 | 1,791 | +8.9 |
4位 | クスリのアオキ | 1,380 | 1,496 | +8.4 |
5位 | ディスカウントドラッグコスモス | 1,344 | 1,493 | +11.1 |
6位 | クリエイトエス・ディー | 1,012 | 1,093 | +8.0 |
7位 | サンドラッグ | 920 | 1,011 | +9.9 |
8位 | ドラッグストアマツモトキヨシ | 932 | 986 | +5.8 |
9位 | ドラッグセイムス | 978 | 982 | +0.4 |
10位 | ココカラファイン | 808 | 826 | +2.2 |
11位 | 薬マツモトキヨシ | 797 | 820 | +2.9 |
12位 | Vドラッグ | 557 | 580 | +4.1 |
13位 | キリン堂 | 473 | 508 | +7.4 |
14位 | カワチ薬品 | 451 | 470 | +4.2 |
15位 | ゲンキー | 394 | 412 | +4.6 |
16位 | 薬王堂 | 385 | 392 | +1.8 |
17位 | ドラッグストアモリ | 361 | 389 | +7.8 |
18位 | トモズ | 348 | 360 | +3.4 |
19位 | くすりの福太郎 | 234 | 308 | +31.6 |
20位 | ハックドラッグ | 289 | 295 | +2.1 |
21位 | ドラッグユタカ | 280 | 286 | +2.1 |
22位 | ウォンツ | 261 | 276 | +5.7 |
23位 | レデイ薬局(くすりのレデイ) | 239 | 259 | +8.4 |
24位 | ザグザグ | 219 | 233 | +6.4 |
25位 | ヤックスドラッグストア | 225 | 230 | +2.2 |
26位 | サツドラ | 217 | 218 | +0.5 |
27位 | ドラッグストアセキ | 212 | 217 | +2.4 |
28位 | ドラッグイレブン | 204 | 205 | +0.5 |
29位 | コクミン | 180 | 193 | +7.2 |
30位 | ドラッグぱぱす | 174 | 180 | +3.4 |
◎参考情報:
上位チェーンの2023年以前の店舗数 経年推移(2019~2023年、1月時点)が【2023年版】【年推移】チェーン別 店舗数 で確認できます。
ランキングは当社のチェーン店舗データをもとに作成しています
日本ソフト販売が提供する、全国のチェーン店舗データ(飲食店・コンビニ・ドラッグストアなど)についての詳しいサービス情報は、こちらからご覧いただけます。
【まとめ】「増収増益」の2023年 進む「調剤薬局の併設拡充」
大手・中堅ドラッグストア運営会社の 2023年中に関する業績発表(公開された四半期報告・決算短信、計14社分)を調べたところ、一部 コロナ関連需要の反動減等を原因とする「増収減益」の企業があるものの、多くの企業で 売上高・利益(営業利益、純利益)ともに増加の「増収増益」となっています。前期比 2ケタ台の伸長となった企業も、大手・中堅を問わず 多数みられます。
物価高、人件費・光熱費・物流費等 コスト上昇の厳しい環境下ながら、2023年のドラッグストア業界は、本格的な人流回復によるインバウンド需要や医薬品・化粧品の好調、受診控え解消による調剤薬局の好調などにより、活況を取り戻しているようです。
そんな中、多くのドラッグストアが進めているのが「調剤薬局併設の強化・拡大」と「生鮮食品の導入・拡充」。特に、利益率が高いといわれる調剤薬局の併設に関しては、各社の決算資料等をみても 機運がさらに高まっている状況が窺われ、今後もこの流れは続くものと考えられます。
また、M&Aによる再編が進むこの業界の最大のニュースといえば、2024年2月に発表された イオンが主導する「ウエルシアホールディングスとツルハホールディングスの経営統合」です。株式交換により2027年をメドにツルハHDがウエルシアHDを完全子会社にする方針、とのこと。まだ 協議が始まる段階(2024年2月)ですが、売上高規模で2兆円超となる業界最大手と2番手の統合だけに、大きなインパクトをもって迎えられました。
この巨大ドラッグストア企業の誕生がさらなる統合・再編の呼び水となるのか、コンビニ業界のような大手への寡占化が進むのか、どんな企業が独立を保っていけるのか など、今後の動向が気になるところです。
本記事は当社のチェーン店舗データをもとに作成しています
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